鹿島建設、鹿島建物、日本マイクロソフトによる建物管理プラットフォーム「鹿島スマートBM」が提供開始。空調や照明、室内環境、エネルギー消費量など、建物データをAIで分析することで、機器の異常や設備の最適調整、維持費の削減などが可能となる。
鹿島建設は2019年12月4日、鹿島建物総合管理ならびに日本マイクロソフトと連携して、建物管理プラットフォーム、鹿島スマートBM(Kajima Smart Building Management。以下、KSBM)のサービス提供を開始したと発表した。
KSBMは、複数の建物の中央監視装置やIoTセンサーなどで取得したデータを自動的にクラウドへ収集し、蓄積データをAIエンジンが学習、エネルギーの消費予測や設備機器の異常を検知するシステム。2018年に鹿島建物が管理する建物に初適用された後、国内約60件のビルが本システムを導入している。
KSBMのデータ基盤の構築やAIエンジンの実装にあたっては、マイクロソフトのクラウドコンピューティングプラットフォーム「Azure」を使用。KSBMを導入した建物は、中央監視集約化装置(KVM)を経由して遠隔監視装置と接続する。24時間365日の状態監視によって、空調や照明などの稼働状況、温度や照度などの室内環境、エネルギー消費量といった建物の設備運転データが、データ収集用小型PCからLTEを経由してクラウド上にビッグデータとして蓄積される。
蓄積したビッグデータは、エネルギーの無駄を検知するシステム「EF Detector」など鹿島建設および鹿島建物が保有する技術とAIエンジンを組み合わせて解析する。この結果、トラブル発生時における設備状況の早期把握、設備最適運転による省エネ化、建物管理作業の省人化・高度化などのメリットを建物オーナーに提供できるようになった。
現在国内で運用中の建物の大半は、AIやIoTが登場する前に建築したものだが、最新の情報通信技術(ICT)を適用することで、建物管理最適化や維持管理コスト削減を図ることが可能になりつつある。ただ各建物は規模や使用法が異なるため、設備機器の最適化にあたってはベテラン管理者の経験に頼らざるを得ず、建物管理のコスト削減や品質向上には限界があった。
KSBMの開発・提供により、IoTで収集したデータをクラウドに蓄積し、AIで解析するという一連のオペレーションを標準化し、遠隔管理・群管理することが可能となる。これにより建物管理のサービスが従来より大幅に最適化され、管理コスト削減、品質向上が期待できる。
今後について鹿島建設は、KSBMのさらなる活用により、建物の使用方法や利用者の行動に関するより多くのデータを取得し、建物利用者の利便性向上を実現するサービス開発につなげることで、KSBMをスマートビルやスマートシティの基盤サービスにまで拡張していきたいとしている。
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