短期連載「節電に効くシステム」の第3回では、BEMS(ビル向けエネルギー管理システム)の中でも、経済産業省の「エネルギー管理システム導入促進対策事業費補助金」の対象となっている製品を整理し、それぞれの製品がどの程度の規模の建物に適しているのかを解説する。
2013年1月現在、「エネルギー管理システム導入促進対策事業費補助金」制度でBEMSを販売する業者「BEMSアグリゲータ」の認証を受けているのは23社。それぞれのアグリゲータが提供している製品は合計で84製品になる。これらの製品の主要な機能は、電力消費量の推移をWebブラウザなどに表示することと、消費電力が設定したしきい値を超えないように空調機器か照明機器を制御することだ。
ほとんどの製品は空調機器を主な管理、制御対象としている。照明機器よりも空調機器を制御した方が節電効果が大きいからだ。今回はBEMSアグリゲータ制度を運営している一般社団法人 環境共創イニシアチブが公開している資料を元に、管理できる空調機器の数で84製品を分類した。数が少なければ小規模なビルに向けたもの、数が多ければ中規模、大規模なビルに向けたものとおおまかに考えることができる。
まずは管理対象の空調機器を0あるいは1としている14製品からだ(図1)。この規模の製品は、初期導入価格が100万円以下となるものが14製品中9製品とかなり多い。月々のサービス費用も安めだ。月額5000円以下としている製品は14製品中7製品。ただし、製品の導入費用に対する補助率が1/3と少なめになる製品も多い。14製品中6製品が補助率を1/3としている。
コストを考えると、オリックスの「デマンドレスポンスサービス:需要抑制・簡易制御」が目を引く。初期導入費用も月々のサービス費用も無料だ。
ただしこの製品を利用するには、BEMSによって削減できた電気料金の一部をオリックスに支払う契約を結ぶ必要がある。契約期間は5年間。オリックスへの報酬は、削減できた電気料金の20〜80%だ。
導入コストと月々のサービス費用を見るとかなり魅力的な製品だが、毎月の電力コスト削減効果はほかの製品と比べると少なくなってしまう。導入を考えるなら対象のビルの消費電力量を見て、オリックスへの報酬が他社製品の毎月のサービス費用に比べて高く付くか安くなるかを検討してみると良いだろう。
図1の中には一部高価な製品が混じっている。管理対象を増やしたり、多数の照明機器を制御できるなどの機能を持っている製品だ。これらの製品は最小構成ではなく、それなりに大きな規模で導入すべきだろう。
管理対象が最小構成で2〜3の製品は図2に挙げた17製品だ。導入費用を見渡すと100万円以上となる製品がほとんどになる。サービス費用も図1に挙げた製品群と比べると高めだ。補助金の補助率が1/3となる製品は7製品。
導入費用とサービス費用を見ると、エディオンの「エディスマ・エネルギー管理システムLite」が目立つ。導入費用だけを見るともう少し安い製品もあるが、毎月のサービス費用が3000円〜というのは図2に挙げた製品の中でも最も安価だ。しかも、補助金の補助率は1/2となっている。
空調機器の制御対象が0となっているが、その代わりに照明機器の制御で消費電力量をコントロールする。電力消費データを分析し、電力を最適に利用するためのコンサルタントサービスも提供するという。このようなサービスを受けられれば、効果的な節電のポイントを得ることができるだろう。
小規模ビルで使うなら、図1と図2で紹介した管理対象が0〜3の製品から選ぶと良いだろう。
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