パシコンが土木設計のCIMで、ダッソーの3D CAD「CATIA」を選んだワケCIM(3/3 ページ)

» 2019年12月19日 05時38分 公開
[石原忍BUILT]
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モデル化とパラメトリック設計

 もう一つの試み砂防ダムでは、流域内で崩壊または崩れることが予測される土砂量を止めるに最適な「配置計画」と、地質や地形に合わせた構造と地下部分にあたる根入れの「設計」の2段階を踏む。このうち、配置計画では、最も効率的な位置・構造を決めるため、計算のトライ&エラーを繰り返し、微修正であっても一から再計算している。加えて橋梁同様に案件ごとで配置計画と設計を行っているため、ストックも活用できていなかった。

砂防ダム設計での課題とCATIA活用によってもたらされたメリット

 CATIAを採り入れることで、砂防ダムでも、モデル化とパラメトリック設計が可能になった。設計基準に沿ってモデル化して、ダムの設置箇所を決めれば、自動で設計が完了する。修正時にも、ダムの高さや幅、根入れをパラメータ化しているため、形状を数値で変更すれば、副堤や水叩(プール)といった付帯構造物のモデルも連動して修正される。同時にダム自体のコンクリート量もはじき出されるため、工事費の比較にも役立てられる。

砂防ダム設計での3次元モデル

 堆積土砂量の計算では、航空レーザ測量と航空写真の組み合わせから作成した3D地形図をCATIAへ取り込みことで、上流測地形をモデリング。砂防ダムの形状や位置を変えれば、自動で予想土砂量も連動して算出される。さらに、計画段階で必要な山の斜面に築く工事用道路も、モデル化すれば、線形を変えるだけで切土/盛土量も追従して表示される。

 ストックの利活用では、砂防ダムのモデルが蓄積されることで、次のプロジェクトでも転用可能になる。

 伊東氏は総括で、「3次元モデルがパラメトリックであることは、これまで手書きで行っていた変更や修正の際に、絶大な効率化が発揮される。他のソフトだと、エンジニアが直したいと思ったときにレスポンスが遅かった。CATIAは自分の思い通りにプログラミングできるので、3D設計の可能性はかなり広がる」と他の土木業務での適用にも意欲を示した。

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