CIM発注は「土工」「橋梁」「岸壁」などの設計領域に拡大、国交省は2019年度の方針を策定i-Construction(1/2 ページ)

国土交通省は、2019年度以降に“i-Construction”を貫徹させるための要領、基準類を改定および策定した。2019年度のCIM/BIM発注は、道路/河川では地質調査業務、土工、橋梁、トンネル、ダム、河川構造物などの“概略設計”と“予備設計”、港湾では「岸壁(桟橋構造)」の設計業務で積極的な活用を進める。

» 2019年04月03日 09時25分 公開
[石原忍BUILT]

 国土交通省は2019年4月1日、“i-Construction”貫徹に向けた2019年度以降の方針を公表した。ICTの活用による生産性向上を図るための要領、基準類を改定および策定し、ICT施工の工種を拡大するとともに、CIM/BIMの発注の範囲も広げる。

「地盤改良工」「法面工」などにICT施工の工種を拡大する

 ICT施工では、「地盤改良工」「法面工」「付帯構造物設置工」「土工(河床など掘削/床堀)」に工種を拡大。地盤改良工では、地盤改良機械の“施工履歴データ”を新たに活用することを求める。これにより、施工の出来高/出来形管理、帳票自動作成で効率化を図る。

 法面工では、ICT土工と合わせ、ドローンやトータルステーション(TS)で取得した3次元測量データから3D設計データを作成し、法面工のうち吹き付けに適用。TSを用いた出来形管理で検査業務を効率化させる。

ICT法面工(吹付工) 出典:国土交通省

 付帯構造物設置工では、土工と付帯構造物のそれぞれに利用可能な3Dデータで、出来高、出来形管理を行う。

 土工のうち、河床などの掘削では、水中・水域部分で、出来形の要求精度を踏まえ活用。ICT土工と同様の起工測量、またはTSや船舶を用いた断面での起工測量を実施して、現況地形の3次元測量データを使って設計し、ICT建機の施工履歴データで出来高や出来形の管理を行う。床堀は、作業土工のため、出来形管理は不要だが、土工(目的物)と作業土工に3D設計を採り入れ、ICT建機の適用で生産性向上につなげる。

舗装面のTLS計測で機器直下の“点群抜け”を許容

 基準類の主な改定では、地上型レーザースキャナー(TLS)の出来形管理で、舗装面などを計測する場合、機器直下部の半径数m(メートル)で点群が取得できないため、盛り替え回数が増加し生産性向上の阻害要因となっているため、機器直下部分の“点群抜け”を許容することを出来形管理要領へ追記。これにより、最大で従来よりも2倍に効率化されたTLS出来形計測が可能となる。

 さらに、これまでの3メートルのプロフィルメーターだけでなく、TLSでも、点群データを取得し、計算によって平たん性指標を算出する方法も、出来形管理要領に明記した。

地上型レーザースキャナー直下の点群抜けを許容 出典:国土交通省

 地上移動体搭載型レーザースキャナーの出来形管理要領では、GNSSやIMUを使う技術「MMS(モービルマッピングシステム)」を追加。ただし、要求精度が確保できるように、標定点間隔や走行速度、計測距離の確認を定めた。

出来形管理要領にMMSを追加 出典:国土交通省

 マルチビームを用いた深浅測量マニュアル(しゅんせつ工編)では、試行工事のアンケート結果を受け、生産性向上の観点から、基本的に水路測量の基準に合わせて改定するとともに、データの取得作業および解析・共有の効率化から、取得点の密度を見直した。

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