土砂災害の対策に効く傾斜監視システム、遠隔点検で省人化を実現Sigfoxが変える建設現場の維持管理(2)(1/2 ページ)

本連載では、京セラコミュニケーションシステム LPWAソリューション事業部 LPWAソリューション部 LPWAソリューション1課の海野晃平氏が、Sigfoxの概要や現場での活用事例などを説明。第2回となる今回はSigfoxネットワークを利用したIoTデバイス・ソリューションについて解説する。

» 2019年11月22日 10時00分 公開

 第1回では、Sigfoxネットワークの概要に主眼を置いたが、今回は、建設業におけるSigfoxネットワークを利用したIoTデバイスの導入事例について述べていく。

土砂災害の予兆を検知する傾斜監視システム

 1つ目に紹介するのは、傾斜監視システムである。これはインフラ施設の斜面部に傾斜センサーを内蔵したIoTデバイスを設置することで、斜面部での土砂災害の予兆を検知するソリューションである。

 昨今、豪雨や地震により発生する土砂災害への対策が求められており、斜面の監視システムが各所に導入されている。しかし、従来の無線通信を用いた斜面の監視システムは、通信機器、中継器、通信料、電源供給に伴う配線工事など、導入コストが高く、導入は進んでいない。

次世代傾斜監視システム「OKIPPA 104」(西松建設) 提供:京セラコミュニケーションシステム

 そのため目視での点検に頼らざるを得ない状況となり、多くの負担を強いられている。この課題を解決するのがSigfoxネットワークを活用した傾斜監視システムである。従来のシステムと比較し、電源供給するための配線や中継器の設置が不要となるため、監視場所へのIoTデバイスの設置が容易となる。

 さらに、このシステムを導入し、遠隔での点検を可能にすることで、点検業務の省人化に加え、3軸方向に各0.1度からの傾きの変化を捉えることで、目視では確認不可能な現象を把握できるようになる。

斜面の石の危険性を確かめられる落石監視システム

 2つ目は、落石監視システムについて説明する。これは、斜面にある落石の危険性の高い岩石にIoTデバイスを設置することで、傾きと衝撃(加速度)を検知し、落石の予兆を確認できるソリューションである。

 鉄道や道路沿いの斜面にある岩石は、定期点検に加え、地震や大雨などの異常時に点検される。特に異常時においては、早急に安全確認を行わなければならず時間と手間がかかってしまうため、異常がないことの確認と状態変化が起こった際の即時検知が求められる。

 そこで落石監視システムを導入することで、遠隔で岩石の異常有無を確認できるため、点検およびその後の対応が効率化される。さらに目視で確認できない落石の予兆を把握することで、落石を未然に防止することが可能である。

傾き&衝撃遠隔監視システム(ジェイアール西日本コンサルタンツ・岡本無線電機が共同開発) 提供:京セラコミュニケーションシステム
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