NEC、アクセンチュア、鹿島建設、日立製作所、産総研、データ流通推進協議会の6者は、官民共同で“スマートシティー”の共通設計図を作り、1つの街だけで完結せずにスマートシティーづくりが派生的に広がる横展開を構想している。
日本電気、アクセンチュア、鹿島建設、日立製作所、産業技術総合研究所(産総研)、データ流通推進協議会(DTA)は2019年11月8日、内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期/ビッグデータ・AIを活用したサイバー空間基盤技術におけるアーキテクチャ構築及び実証研究」の研究開発項目「スマートシティー分野:アーキテクチャ構築とその実証研究の指揮」の委託先に採択されたことを公表した。
プロジェクトでは、国内外の先進事例を参考にして、地域間や企業間の連携を進め、地域や特定のサービス・システムに依存しないスマートシティー運用モデルの確立を目指す。「都市OS」となるスマートシティーで共通の設計図と、運用マニュアルにあたるアーキテクチャを開発することで、他の地域で生み出されたサービスをスムーズに別の地域にも取り込むことが可能になる。データの利用や提供方法が一律となれば、都市を運営する自治体などの関係者の認識が共通のものとなり、スマートシティー同士が協力した大規模なプロジェクトも行えるようになるという。
ここで言うアーキテクチャは、システム全体を俯瞰(ふかん)する設計図で、機能、データ、アセットを各層に分け、各層の構成要素(個別機能、ルール、データ、アセットなど)とそれらの関係性を時間軸や分野別に可視化する。
研究では全体の統括をNECが担い、他の4者とともにアーキテクチャの検討やルール・制度の整備以外に、ビジネスモデルも成立させ、SIP内での実証研究の指揮も執る。DTAは、データ流通に関する国際標準化を図っていく。
スケジュールでは、2019年度末までに研究成果をまとめて報告し、共通のアーキテクチャを策定することで、Society 5.0の実現をもリードし、国内外でのスマートシティーの普及拡大を加速させる。
現在、全国の自治体において、防災、観光、交通、エネルギー、ヘルスケアなどさまざまな分野でスマートシティーのプロジェクトが展開され、ICTを活用したまちづくりを通じて地域の課題解決が図られている。しかし、各地で実証・導入が進められているプロジェクトは、特定の地域や分野に特化(限定)したサービス開発・システム構築となっており、一つの計画で閉じていることが問題だった。
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