まだ記憶に新しい、千葉県で相次ぐ甚大な被害をもたらした台風15号・19号をはじめ、近年国内では大規模な水災害が頻発している。河川周辺の災害は、川沿いの道路が土砂で埋まってしまうことも少なくなく、復旧に向かう建設重機が通れない事態も起きている。次世代無人化施工技術研究組合では、こうした現場でも、無人化施工を可能にするため、半水中重運搬ロボットと遠隔操作システムの開発を2014年度から着手し、実現場で検証を重ねてきた。
国土交通省 関東地方整備局が主催した「第14期 第11回出展技術発表会」が2019年10月3〜4日の両日、千葉・松戸市の関東技術事務所 建設技術展示館で開催された。2日目のセミナーから、次世代無人化施工技術研究組合 茂木正晴氏の「無人化施工に関する新技術の研究開発―無人化施工の新展開〜遠隔操作による半水中作業システムの実現〜」をテーマにした講演を取り上げる。
近年の無人化施工は、局地的な豪雨による土砂災害が多発していることを受け、浅水域での導入ニーズが高まっている。2018年の西日本豪雨では、道路と河川を挟んだ土砂崩れが各地で起き、河道が塞(ふさ)がれ、水陸を行き来する建設機械の復旧作業が必要になったという。
一方で、現場の要求に応えられる水陸用の遠隔操作式の建機は、ブルドーザーや油圧ショベルを合わせてもまだ数台しかなく、それに単一機種による作業がほとんどで、複数台を連携させた遠隔での施工にはまだハードルが高い。
次世代無人化施工技術研究組合は、経済産業省の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)のもと、水深2メートルの水際や半水中部を対象にした一連の施工を可能にする無人化施工のシステム構築と、実際に浅水域で稼働する遠隔操作型の重運搬ロボット開発に、2014〜2018年度の期間で進めてきた。
プロジェクトで試作した災害対応の無人化施工システムでは、バックホウなどの作業機との連携をはじめ、カメラ専用車も含めた複数のカメラ映像を用いた走行制御、地上のドライエリアでの遠隔操作、ネットワーク型通信システムの整備を検討した。
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