大判カラープリントを始める上で、最初に手にしやすいエントリー機として深野氏が推奨するのが、2019年6月にリリースしたDesignJetの名を冠する「HP DesignJet XL3600 MFP」の2機種(PostScript対応/非対応)。月産300〜500平方メートルのプリントボリュームを想定し、モノクロLEDプリンタからカラープリンタへと買い換えを検討しているユーザーに最適で、テクノロジーは上位機種と同等でありながら、使いやすさや価格帯など導入のハードルを下げたモデルとなっている。カラーA0複合機「HP DesignJet XL3600 dr MFP」の希望小売価格は144万円(税別)。
他社メーカーとの差別化では、最近さまざまな業界で重視される「セキュリティ」を挙げる。HP DesignJet XL 3600の大画面タッチスクリーンでは、図面の回転やトリミング、古い地図などをスキャンしたときの色褪(いろあ)せや汚れ除去などの画像編集ができ、プリンタ自体にPCとHDD(500GB)を積んでいる。逆に言えば、ネットワークと接続することで、プリンタを入り口にして、設計図面の漏えいをはじめ、不正アクセス、ウイルス感染などのセキュリティインシデントが発生するリスクが高まる。
そこでHP PageWide XLシリーズには、HPがグローバルで培ってきたハイレベルのセキュリティ技術が転用されている。最新機種のHP DesignJet XL 3600シリーズでは、起動時にBIOSの整合性を確認して、HPが認証したファームウェアのみを実行するセーフ機能や外部の脅威からプリンタを保護し、自己暗号化HDDによりデータを守るセキュリティチップ(TPM)を備えている。
また、オプションサービスも充実しており、専用ソフトウェア「HP SmartStream」を導入すれば、作業時間が50%も短縮されるという。プリンタ自体が速くてもジョブデータがプリンタに届くのが遅ければ台無しで、図面をはじめ、GISの地図、ポスターなどのデータを蓄積することで、遅延無しに即プリントに移れる。
他の便利ツールでは、3Dレーザースキャナーやドローンを使った測量用のソフトウェアを販売しているTPホールディングスが開発したHP PageWide XLシリーズ専用の図面・文書管理システム「TP-DOC」も用意されている。
TP-DOCには、入力(登録)支援ツール、図面文書管理システム、出図管理システムの各機能があり、Officeドキュメントや3D-CADファイルなどを高いセキュリティ下で一括管理する。これまでバラバラに行っていたスキャナーによる取り込みから、画像の補正・編集、印刷前のサイズや部数の指定までのフローをソフトウェア上で一元的に行うことで、オペレータの作業時間を短縮し、より生産性の高い働き方の改善が実現する。
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