これまでの開発を振り返ると、見える範囲でラジコン操作によって施工する第1世代を皮切りに、モニター越しにコントロールする第2世代、構造物構築に対応した情報化施工方式の第3世代と、技術が進化してきた。
現在では、1キロ以上離れた場所からの遠隔操作、無人での測量・マーキングや構造物の据え付け、無線LANの活用、より狭隘(きょうあい)な場所での適用も実現した。この先の第4世代には、次世代通信規格“5G”を見据えた大規模・長距離のネットワークを構築し、複数台を遠隔操作することが構想されている。
しかし、無人化施工技術には課題があり、「重機の機種・台数が限られている」「有人機械施工に比べ作業品質や効率が劣る」「オペレータが少ない・技量不足」といったことが指摘されている。機種や台数の制限は、重機に取り付けるアタッチメントや運用方法の見直しで改善が見込め、施工品質アップや効率化には作業前の事前検討が必要となる。いずれも作業計画が重要となり、「そこで何をするか、何が必要か、何が効果的か」を見極めがポイントとなる。
一例として、災害被災地での無人化施工では、通常はモータプールを設けて、現場と行き来して、重機のメンテナンスや燃料補給を行うが、現場によってはそのスペースがとれないこともあり得る。また、作業効率は自動化によって6割落ちると一般的にいわれているが、現場に作業を阻害する要因となる巨石や河川などがあれば、5割までの低下を招くこともある。
こうした作業効率の悪化を防ぐためにも、事前にドローン活用も含め現地を調査して環境を知り、工種に応じた機種の選定や管理体制、重機の手配時間も考慮した工程プランなどの施工計画を立て、オペレータにも危険箇所や施工範囲の土質・含水率といった施工に関する情報をできるだけ提供することが求められる。
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