現在、建設現場で採用されている無人化施工は、災害復旧以外の工種でも普及しつつあるものの、機種や台数に限りがあることや有人の機械施工に比べ施工品質が劣るなどの課題がある。技術開発を進める建設無人化施工協会では、解決のカギは作業計画を立案する際に重要となる事前の現場情報量とオペレータへの情報提供にあると見ている。
国土交通省 関東地方整備局が主催した「第14期 第11回出展技術発表会」が2019年10月3〜4日の両日、千葉・松戸市の関東技術事務所 建設技術展示館で開催された。2日目のセミナーから、建設無人化施工協会 技術委員長・鈴木正憲氏の「無人化施工技術〜無人化施工による効率的・効果的な災害復旧〜」と題したプレゼンを取り上げる。
建設無人化施工協会は、有珠山の噴火や伊豆諸島北部群発地震が発生した2000年11月に、無人化施工法の技術開発や普及促進をはじめ、災害復旧工事に対応する体制構築と維持を目的として、建設業者、建設機械メーカー、無線機器メーカー、リース業者から成る18社で設立された。以降、測量機器メーカーや航空事業者なども参加し、会員数23社で災害対応・復旧への技術協力を行っている。
無人化施工は、建設工事を遠隔地より安全かつ円滑に行うことを目指し開発された技術。制御装置などを取り付けた建設機械をオペレータが遠隔地より操作することで、安全性を確保すると同時に、工事を支援するシステム群で作業効率も向上させる。
無人化施工を開発する契機となった1994年の雲仙・普賢岳噴火に伴う復旧・復興では、砂防堰堤(さぼうえんてい)の築堤や構造物設置、除石工事に採用された。その後、東日本大震災や熊本地震を筆頭に、各地の災害復旧工事や劣悪な環境の現場にも適用され、2017年10月までに全国で129件の導入実績がある。
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