戸田建設が高強度材料用いた鉄筋コンクリート扁平梁工法を開発した。梁せいを従来より約1/2に抑えて広い梁下空間を確保し、開放的な空間を実現する。
戸田建設は2019年9月10日、高層建築物に使用する高強度の鉄筋やコンクリートを組み合わせるとともに、梁(はり)の断面を横長の扁平(へんぺい)梁にすることで、従来よりも床から梁下までの高さを増すことのできる鉄筋コンクリート扁平梁工法の開発を発表した。広い梁下空間を確保することで、天井裏の設備計画や施工が容易になるとともに、建築計画の自由度が向上し開放的な空間を実現できる。
同工法は梁幅を大きくした横長の断面の梁を採用するとともに、「扁平梁に高強度鉄筋および高強度コンクリートを用いる」「免震構造や耐力壁などと組み合わせる」「構造設計時に、柱幅からはみ出した部分の梁を介して柱に伝達する力を適切に評価する」などの工夫を加えた。これによって必要な構造性能を確保しながら、梁せい(梁の高さ)を従来に比べて約1/2に抑えることが可能となった。
一般に、建物を支える梁は曲げる力に対して強い縦長の断面とするため、意匠上の観点から梁を隠すためには天井を低くする必要があった。また、梁によって天井裏の設備スペースが分断されてしまう等の設計・施工上の課題もあった。一方で、単に梁せいを小さくすると曲げる力に抵抗する性能が低くなってしまい、梁幅を柱幅よりも広くすると柱から梁への力の伝達が複雑になるため、必要な構造性能が得られなくなるという懸念もあった。
同工法は、室内空間を最大限に利用しながらも建物高さを低減したい集合住宅や、天井に設備配管などが多く配置される医療施設などで効果を発揮する見込みだ。同社は今後、これらの用途の物件を中心に同工法を積極的に展開する。
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