セミナー後半には、BIM測量の活用事例や使用にあたっての注意点が説明された。杭390本の杭芯確認作業のケースでは、杭工事業者が杭芯墨(セパレータ打ち)を付けた直後に、その全数をBIM測量で確かめ、設計図の読み違いで50ミリずれていた杭芯墨を1箇所発見した上、300カ所以上の杭芯墨を5〜6時間でチェックできたという。
「各杭打設直の杭芯墨の再確認と、杭打設後のXY座標・高さのチェックにも利用しました。取得した実測座標は全て保存し、設計監理者へ提出しています」(三井氏)。
掘削床付け確認の事例では、基礎・ピット階躯体部分の掘削エリアで、土工事業者が掘削した後に、土面の床付け高さや範囲をBIM測量で確かめた。
三井氏は、「BIM測量が苦手とする環境を挙げることになりますが、敷地が狭く建ぺい率の高い物件だと、杭ナビを設置する場所が限られます。加えて、切梁や落下防止手すりがあると、杭ナビのレーザーでプリズムを捉えることが難しくなります。人通りの多い地域だったので、Wi-Fi接続が切れやすかったです」と明かした。
また、最深GL-約6メートルと深い掘削で、法面もなかったため、座標確認したい場所が杭ナビの対象エリアに入るように、据え付ける位置を工夫したという。
BIM測量使用時の注意点として、三井氏は、「RevitやAutoCADで作成した3DモデルにPoint Layoutで座標点を追加していく時、ナンバーに名前を付けますが、アルファベットや記号を含めると、BIM 360 Layoutに取り込んだ際に、バグが起きることがあります。そのため、座標点のナンバー名は、シンプルな数字だけにすることを推奨します。また、現場で実測した後に座標を“a100”のようにアルファベットをプラスしたナンバー名で保存することで、BIM 360 Layout上で実測座標と設計座標の偏差を一覧表で見られます」と話した。
さらに、「大勢の人を集めて説明会などをする場合、参加者の携帯しているスマートフォンなどのWi-Fi通信機器が、杭ナビとiPadの通信に影響を与えてしまうことがあるため、参加者の端末のWi-Fi通信をオフにするか、持参しないことが望ましい」と付け加えた。
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