三菱地所が都内狭小地のオフィスビルに、「ツーバイ材ラミナ」のCLTを初採用CLT(3/3 ページ)

» 2019年09月26日 10時16分 公開
[石原忍BUILT]
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「鉄骨造+木」の新たな鉄骨梁の耐火被覆を開発

 耐火被覆では、ケイカル板が高額だったことや設備配管用の梁(はり)貫通や外装受け部材が設置できなかった問題点を改善。安価な強化石こうボードと、ニチアスの乾式耐火被覆「マキベエ」を組み合わせ、新たな鉄骨梁の耐火被膜を開発した。これにより、既存の仕様に対して、ローコスト化が図れ、鉄骨造と同様の梁貫通や外装受けを設けられるようになった。

 CLTパネルの取り付けでは、従来は、鉄筋を現場で配筋するための「溝加工」という事前の加工が必要だった。これを長さ120ミリのラグスクリューボルトをCLTパネルに埋め込み、コンクリートを流し込む新たな簡易接合方法に変えて、接合部の仕様を簡素化したため、CLT床工事費もより低減される。

 三菱地所 住宅業務企画部 CLTユニットの担当者は、「当社は、今後の事業継続性を見据え、CLTのR&Dをスタートさせ、さまざまなアセットでのノウハウ蓄積や普及を進めている。単に安いCLTではS造と組み合わせるとき、より手間が掛かかってしまう。今回適用したCLTは、現場でマザーボードを鉄骨のフレームに落とすだけで済む施工簡易性がある。これにより、CLT専用の職人は不要となり、製造から施工までを含めたローコスト化が図れる。現状では鉄骨造よりも、1割ほどコストが割高になってしまうが、将来的には木の表面を露出させる“現し”の天井などにすることなどで、よりコストカットを目指していく」と説明した。

鉄骨の梁に取り付けられているフレーム

 三菱地所では、2016年からCLTに取り組み、現在までに10階建て賃貸マンションの「PARK WOOD高森」、屋根に現しとして使った沖縄県宮古島の「みやこ下地島空港ターミナル」、隈研吾建築都市設計事務所がデザイン監修を手掛け岡山県真庭市のCLT材を用いた「CLT晴海プロジェクト」パビリオン棟の実績がある。

「(仮称)千代田区岩本町三丁目計画」のエントランス外装には木を使用 提供:三菱地所
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