三菱地所が、宮城県仙台市泉区で建設を進めてきたCLTを床材として採用した国内初の高層マンション「PARK WOOD 高森」が竣工した。完成後は、木材特有の乾燥収縮やクリープによる変形量をモニタリングし、CLTの普及に役立てていくという。
三菱地所は、宮城県仙台市泉区「泉パークタウン」内で進めていた10階建て賃貸マンション「PARK WOOD 高森」が2019年2月22日に竣工し、3月13日に竣工式を執り行った。
PARK WOOD 高森のプロジェクトは、CLTを床材に採用した日本初の高層建築物。設計・施工段階から防耐火・構造の技術および施工方法の検証を行い、CLT工事の合理化手法の確立を目指したという。
CLTの施工は、工場生産されたCLTと鉄骨を組み合わせる“乾式工法”で、工程に水を要するコンクリートやしっくいなどを使用しない。鉄筋コンクリート造と比較して、養生時間含め、全体で3カ月の工期が短縮された。仮に、鉄筋コンクリート造で施工した場合の想定工期は14カ月だという。
また、CLTにより建物が軽量化され、基礎・杭・建物躯体など構造躯体工事の負荷も軽減した。さらにCLTを石こう系SL材で被覆することで、高層化に必要な2時間の耐火性能と、軽量気泡コンクリートパネル+強化せっこうボード使用時に比べ、被覆工事の省力化がもたらされた。
CLTは、床と壁の合計約220m3(立法メートル)に構造材として使用。4〜10階部分には床材として採り入れ、耐火被覆に加えて、トップコンクリートを流し込むことで床材を覆い、遮音性能が備わった。竣工後に実施した物件の重量床衝撃音レベル検証では、両タイプで同等の結果が確認された。
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