清水建設がEDGEMATRIXに出資、エッジAIを使った“スマートビル”2020年に実証へAI版のiモード(3/3 ページ)

» 2019年09月04日 06時00分 公開
[石原忍BUILT]
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ビルシステムにエッジAIを導入し、建物の付加価値提案につなげる

 また、ソリューション事業では、費用対効果とのギャップなどの理由から、実証段階で終わってしまいがちなAI開発の課題を踏まえ、いかに実用化するかを主眼に置き、パートナー企業の知識や経験のサポートを得ながら、適用する現場に合わせたカスタム・ソリューション開発を行っていく。

 出資者の清水建設とは、“スマートビルディング”と“スマートファクトリー”の領域で、共同プロジェクトに着手。スマートビルディングは、大規模ビルで運用されているセキュリティや省エネ、スペース(床面積)の有効活用、設備管理など、数百台が稼働しているセンサーやカメラの中央監視や制御にエッジAIを導入。ロードマップでは、建物(施設)のIoT・AIプラットフォームの構築を2019年下半期からスタートさせ、2020年上期中の実証実験を目標とする。

 一方の製造業を対象にしたスマートファクトリーは、工場ごとに異なる製品や製造ラインに対応させるため、カスタマイズして現場に適用する。AIを生産フローの流れの一つに組み込み、製品の良否判定を行う画像検査の無人化に取り組む。

清水建設と共同で開発を進めるビル(施設)のIoT・AIプラットフォーム
清水建設 執行役員 エンジニアリング事業本部の関口猛氏

 会見で、清水建設 執行役員 エンジニアリング事業本部の関口猛氏は、出資の経緯について、「2年前に、工場や物流施設のプロジェクトを多数抱えていた頃に、当社も建物をただ建てるだけではなく、安全・安心、生産性向上、人手不足(省力化・省人化)といった潜在的なニーズに応えることで、(AIを活用した)付加価値の提案ができないかと思い至り、協力することになった」と説明。

 清水建設では既にAIアプリケーションとして、物流施設を対象とした「早期火災検知システム」と「車両管理・誘導システム」の実用化に成功。今後は、「物流施設・工場を皮切りに、オフィス、商業施設でも、個別のニーズに応じられるIoT・AIプラットフォームを構築し、建設における生産設備のエンジニアリング分野でもシナジーを創出できれば」と展望を語った。

清水建設のAIアプリケーション「早期火災検知システム」
会見でのフォトセッション。左から、清水建設 執行役員の関口猛氏、EDGEMATRIX 副社長の本橋信也氏、同社 社長の太田洋氏、NTTドコモ 執行役員の谷直樹氏、米Cloudian CEOのマイケル・ツォー氏
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