個人設計事務所がBIMを武器に生き残っていく術、GLOOBEセミナーBIM(3/3 ページ)

» 2019年08月08日 09時15分 公開
[石原忍BUILT]
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各レベルごとに打ち合わせ内容も変わる

BIMモデルの密度。畝氏は詳細度に応じてレベルを3段階に分けている

 現在、畝啓建築事務所では、BIMは設計だけに限定せず、景観の申請時にBIMにマンセル値を入れて対応した例をはじめ、認定こども園の案件では、園を開設する上で死活問題になる補助金申請に簡易モデルを使い、紙ベースのプレゼンから手間が大幅に削減されたケースなど、設計の周辺領域での活用にも取り組んでいる。

 これ以外にも、相続税で係争中の物件では、モデル化することで建物の評価を見える化して相談に乗ったり、銀行ごとに不動産評価の異なるホテルでは、BIMモデルを作成して情報を整理し、中期修繕計画の融資資料として利用した。

 こうした設計業務以外で、増築のための関係法令の整理、既存不適格調書の作成、建物評価、耐震改修、既存建物の調査などが増えることで、新築よりも物件数が見込める既存ストックの再生・活用といった新たな案件獲得が見込めるようになる。

レベル1の密度で提案した外壁改修計画
認定こども園の補助金申請はレベル1の詳細度で事足りる
最終的な認定こども園のモデル
不動産評価に利用したBIMモデル

 畝氏はこれまでの経験から、「BIMは新築でなくても威力を発揮する。既存建物でも、BIMモデルを作成してデータベース化することで、将来的なファシリティマネジメント(FM)にも活用することができるようになり、大規模改修や増築、新規事業計画への参入といった受注形態の変化が実現する。弱小の建築事務所にとって、BIM×FMが今後、生き残る鍵になるかもしれない」と期待を語った。

受注形態の変化
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