ダイダンは、完全ZEB建築の「エネフィス四国」を完成させた。省エネと創エネを組み合わせ101%のエネルギー削減を達成した。
ダイダンの四国支店が入る「エネフィス四国」は、太陽光発電や地中熱利用など、さまざまな技術を導入し、エネルギーを101%削減した“完全ZEB”を達成した。
ZEBは、「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル」の略称。大幅な省エネルギーと、再生可能エネルギーの導入などにより、年間の1次エネルギー消費量の収支ゼロを目指す建築物を指す。定義によって、設計基準から50〜75%の省エネを実現した「ZEB Ready」、75%以上の「Nearly ZEB」、100%以上の「ZEB」の3カテゴリーに分類されている。
エネフィス四国は、地中熱利用を筆頭に省エネ技術を採用することで、消費エネルギーを54%削減。これに加えて、太陽光発電で47%のエネルギーを創出するため、合計で101%のエネルギー削減を実現した。
完全ZEB以外にも、住宅性能評価・表示協会が実施する「BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)」で、最高ランクの「5☆」を取得。さらに建築環境・省エネルギー機構が展開する建築環境総合評価システム「CASBEE」で、「S」ランクの認証を受けている。
環境性能を高める技術としては、地下にアースチューブを埋設して通気や空調のための外気を通過させることで予冷・予熱を行っている。基礎杭内にも、採熱配管を取り付けて地中熱を利用。スラブや外壁の内側には配管を通して、地中から採熱した中温冷水を流すことで、躯体蓄熱の機能を与えた。
照明や空調は、効果エリアを作業域(タスク)とそれ以外に分割して効率的にコントロールするタスク&アンビエントの手法を取り入れた。アンビエント照明/空調は、天井レスユニット「シーリングフリー」で制御。従業員が各自使用する椅子には、涼しさや温かさを調整できる椅子型タスク空調「クリマチュア」とした。
各設備の運用は、IoT技術を使った「クラウド型自動制御システム」で、完全にクラウド化上で管理している。
従業員には、心身へのリラックス効果を想定し、自然の植物をオフィス内取り込んだ「バイオフィリックデザイン」を適用。屋内外の緑化を進め、エントランスでは野菜も栽培する。
地震・津波対策では、国土交通省が策定を進めているBCPガイドラインを参考に、非常時でも支店機能を維持・継続する設備を備えた。建築の全体的なコンセプトである「『BCP対策』と『ZEB技術の深化』を図り、快適性と経済性を向上させた次世代型建物」として具体化させた。
エネフィス四国の所在地は、香川県高松市本町6-17。建物規模は、RC造3階建て延べ床面積1168平方メートル。設計・施工はNTTファシリティーズ、四電エンジニアリングと、直営。共立建設も施工に協力している他、建物の設計には早稲田大学創造理工学部建築学科の田辺新一教授と、工学院大学工学部建築学科の野部達夫教授が監修を務めている。
ダイダンは、埼玉県内の技術研究所で、省・創・蓄エネルギー技術など最先端の技術研究を進めている。そこでの研究をベースに、ZEB技術の実証・検証を自社物件に複数回実施しており、今回のプロジェクトもその一環。「エネフィス四国の建築と運用を通じ、さらなるZEB技術の知見を蓄積し、自社所有から範囲を拡大させ、顧客の建物でもZEB化実現を目指していく」(ダイダン業務本部広報部)。
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