「ICT活用にはどんな心構えをすべきか」日建連の講演など、ヒューマンタッチ総研セミナー産業動向(1/3 ページ)

ヒューマンタッチ総研は、「建設業界のためのICTを活用した生産性向上セミナー」を開催した。セミナーでは、独自の市場調査レポートや現場で必要とされる通信ネットワーク、外国人材活用のノウハウなどをテーマにした各種講演が行われた。

» 2019年08月01日 09時23分 公開
[石原忍BUILT]

 ヒューマンタッチ総研は2019年7月30日、「建設業界のためのICTを活用した生産性向上セミナー」を東京・新宿区のAP西新宿で開催した。講習会は5部構成で、全講座の参加者には、土木施工管理技士の継続学習制度(CPDS)の認定ユニットが付与された。

建設技術者2025年未来予測のシミュレーション

盛況となったセミナー

 第1部は、主催者を代表してヒューマンタッチ総研 シニアコンサルタントの高橋良久氏が、独自レポートの「建設技術者2025年未来予測(2018年度版)」を解説した。総研では、毎年年末に建設業における2025年の未来予測を各種データから読み解き、レポートとしてまとめ公表している。

 最新2018年版では、国勢調査を基に建設技術者の人材動向を探った。建設技術者は、2015年のデータでは、55歳以上が35.2%を占め、2000年との比較で約52%も減少したことになる。高齢化と人手不足が進行する一方で、「東京五輪後に、建設投資が抑えられるのではという見方もあるが、インフラ需要などに支えられほぼ横ばいとなることが推察される。高い需要に対する人手不足の現状を踏まえ、生産性に変化が起きなかった場合と改善された場合の2つのシミュレーションを行った」(高橋氏)。

 シミュレーションでは、2025年までに何も手を打たずこのままであれば、他職種からの入職や新卒の減少と、転職や定年による離職に伴い、6万7219人が不足するとした。逆に生産性向上が図られれば、6.9万人分の人工が改善され、残業削減・週休2日制で働き改革も進めば他業界への人材の流入に歯止めもかかり、8920人の不足にまで抑えられると示した。

現状維持だった場合のシミュレーション
生産性を向上させた場合のシミュレーション

 高橋氏は、「いかに生産性の向上と働き方改革を進め、いま業界にいる人を守っていけるかが重要となる。今回のセミナーでは、ICT活用をメインテーマに据え、技術者が不足する現状から脱し、不足分をどう補うのかヒントになる講演をそろえた。ぜひ有益な情報を持ち帰ってもらいたい」と要望した。

建築/土木の分野で活用できるネットワークとは?

フリービット・西川聡氏

 続く講演では、フリービット クラウドインフラ事業部 営業課兼企画・マーケティング課の西川聡氏が、「現場で活用できるネットワークインフラとクラウドカメラ」を解説。同社は、クラウド、ブロードバンド、モバイルを柱に幅広い分野に事業を展開している。

 そのなかで、西川氏は、建築・土木の分野で業務効率をもたらすICTを活用するための通信規格として、「Wi-Fi HaLow」「プライベートLTE」「ローカル5G」の3つを提案した。Wi-Fi HaLowは、Wi-Fi規格の一つで、従来に比べカバー範囲が最大1キロと伝送距離が長く、電波を出すために免許を取得する必要が無い。現場に導入する際に、複数のアクセスポイントを設置しなくても、ゲートウェイを1基置くだけで、ICT機器につなげられる。

「Wi-Fi HaLow」の実験機
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