プライベートLTEは、携帯キャリア各社が提供するLTEと同等の通信網を自前の設備で専用LTEネットワークを構築する。2020年に終了するPHSの周波数(1.9GHz)を使用するため、免許が要らず運用コストがかからない。大規模施設で音声や画像、IoTデータなどを送受信するための通信網を企業独自に整備することができる。
メリットとしては、専用SIMのため高セキュリティで、通信が途切れにくい。十分な伝送速度と到達速度が得られ、さらに通信事業者のサービスとの最大の違いは、基地局を置く初期費用のみで、利用容量や帯域に応じた課金は一切ない点だ。
ローカル5Gは、プライベートLTE同様に、専用の通信環境を築く第5世代移動通信システム。無線局免許を取得することも、免許取得した他社のシステムを利用することもどちらでも可能だ。しかし、「(5Gはまだこれからの技術のため、)建設機械を遠隔で操るなど、夢のような高速通信を実現しようとすると、大型の端末を搭載しなければならず、技術的に越えなければいけない壁がある」とした。
フリービットでは、こうした通信規格と、インタフェースを建設仕様にしているクラウドカメラ「freebit cloud CAMPASS」を組み合わせてサービス展開している。クラウドカメラは、録画用レコーダーを購入しなくても、どこにいても映像を閲覧でき、カメラの設置場所はGoogleMap上に表示される。カメラの機能だけではなく、各種センサーなど、さまざまなデバイスをクラウドに集約して統合管理する。顔認証をはじめ、映像内のヘモグロビンで心拍やストレス、カロリーを判定する体調管理など拡張性も高い。用途は、大規模な建設現場、山岳トンネル工事で光回線が敷設できない場所での現場管理としての利用が想定されている。
まとめで西川氏は、「最新の通信規格を駆使した自営網の構築と、クラウドカメラを組み合わせ、現場に適用することで、作業員の顔認証による勤怠管理やバイタルデータの取得も一元的に行えるようになり、現場作業の効率化がもたらされる」と提案した。
基調講演では、建設ITジャーナリストでイエイリ・ラボ代表の家入龍太氏と、日本建設業連合会i-CON技術TFリーダの杉浦伸哉氏(大林組)が登壇。
家入氏は、ポスト五輪の建築・土木の未来を変えるロボット、AIの最新事例を紹介した。「労働生産性を上げるためには労働時間を減らして、付加価値を高める必要があり、頭脳労働はAIに、肉体労働はロボットに、それぞれ任せることが求められる」。
また、建設業のデジタルツイン戦略としてBIM/CIMの重要性を「3次元モデルで分かりやすく、3Dと同時に属性情報を活用することで、設計の自動化や現場作業の短縮がもたらされる」と述べ、国土交通省が2025年までに生産性を20%向上させることを標ぼうしている「i-Construction」の取り組みやICT施工の現場、BIMと連携した施工ロボットを映像などで解説した。
AIとロボットの活用に関して家入氏は、「完璧を求めないことが肝心で、“融通が利かない同僚”と思って7〜8割の人工を見込むべきロボットと人間がひと組みになり、1.5人分の仕事をすれば、1人当たりの生産性は1.5倍となる」と提言した。
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