日本ゼオンが、木質建材のCLTパネルを用いた社員寮を完工。コストや施工性、工期に配慮したLC-core構法を採用している。
日本ゼオンは2019年6月11日、岡山県倉敷市の同社社宅敷地内で社員寮の竣工(しゅんこう)式を開催した。木質建材のCLTパネルを用い、コストや施工性、工期に配慮した「LC-core構法」を採用している。
同社は2019年で50周年を迎える水島工場の周年記念事業の1つとして、社員寮の新規建築を2018年11月21日から開始し、2019年6月11日に竣工式を迎えた。国の政策である「公共建築物等における木材の利用の促進」に、同社の社会の持続的発展と地球環境に貢献するという「CSR推進計画」が沿うことから、社員寮には木質建材のCLTパネルを採用した。
3階建ての社員寮は、全34戸、約70帖の多目的大ホール、特別室3室の間取りで、大ホールは入居する社員をはじめ、人とのコミュニケーションを深めるために幅広く活用する場としている。バルコニーの軒や3階の廊下部分は、木をそのまま見せる「現し」仕上げで、木目や木のぬくもりを感じられるCLTならではのデザインが特徴だ。CLTの使用量は486.02平方メートルと、これだけ多くCLTを使用している物件は全国でも数例に限られる。
設計と施工は、岡山市のライフデザイン・カバヤが手掛け、工法は同社が開発したLC-core構法を採用した。耐力壁をコア型に配置することで、最低限のCLTパネルと在来軸組フレームで新たな木質空間を創り出すことが可能だ。従来よりCLTパネルの立米数を減らし、歩留まりを向上させ、コストや施工性・工期にも配慮した構法で、1000平方メートル規模の3階建て集合住宅なら、鉄筋コンクリート造りに比べ約半分程度の工期で済む。今回の社員寮は延床面積1214.77平方メートルと、同社が設計および施工を行う過去最大規模のCLTを用いた建物となり、実質約6カ月という短い工期での完成となった。
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