三菱ビルテクノがリニューアル専用の研修棟「練」開設、2020年までに70人の技術者育成ビル設備(2/2 ページ)

» 2019年06月03日 08時00分 公開
[石原忍BUILT]
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労災撲滅と工事品質の確保も目指す

側面が透明アクリルのエスカレーター
三菱製エスカレーターの実機を使って実践的な実習が行える

 エレベーターの実習場には、楊重作業の訓練が行えるように、上下が貫通した開口部を設けている。リニューアル専用の工具を用いて、既設機器撤去のトレーニングが行える。

 研修のスケジュールは、対象とする設備によって変わるが、おおよそ7日間で、リニューアル工事ならではの復旧を見込んだ作業日程が組まれ、より実際の工事に即した形で行われるという。

楊重作業の訓練風景
モダニゼーション統括部長・村上信一氏

 新研修棟を新設した意図について、昇降機保守事業本部 モダニゼーション統括部長の村上信一氏は、近年はビルの老朽化に伴い、「20年程度で更新時期を迎える付帯設備のエレベーター/エスカレーターといった昇降機のリニューアル工事も急増している。現状、三菱電機ビルテクノサービスでは、グループ含め年5000台のリニューアル工事を手掛けているが、人材が足りず自転車操業が続いている状態だ。据付技術者の増員と現場代理人の技能・知識向上は急務」と説明。

 これまでは、“新設工事”向けの据付研修施設や工事現場でのOJTで教育してきたが、“リニューアル”特有の技術や対応力が身に着かないことも課題だった。そのため、課題解決の専用施設として、研修棟を新築し、専用治工具の使用やストックヤードの確保、受講生が宿泊もできる教育センター内に設置したことで十分な研修期間や教育体制が整った。

2019年度のカリキュラム予定

 練では、三菱製昇降機を据え付ける技術者の増強に加え、労働災害撲滅と工事品質の向上を目標に掲げる。技術者は、新人作業者向け教育を充実させるとともに、エレベーター/エスカレーター両方を扱える“多能工”化も見据える。安全対策ではリニューアル工事特有の安全教育を行い、現場代理人認定制度の導入と認定基準に合わせた訓練を実施する。

 新研修棟は、設計監理者を三菱地所設計、施工を積水ハウスが担当した。RC造地上4階、PH1階)で建築面積は352.48平方メートル、延べ床面積は1202.87平方メートル。工期は2017年9月15日から既存建物の解体に着手し、2019年2月15日に引き渡しを行った。

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