今回、新たに追加された腕のアシストとMODEL Yは、一体的に開発していくのではなく、新しい腰のタイプをリリースしたら、腰だけを入れ替えられるような、ハードウェアでありながらその都度アップデートできるシステムとして展開していく。
腕補助用ユニットは、持ち上げ、保持と移動、持ち下げの各動作をサポート。また、倉庫の棚など狭いスペースで奥から重量物を引っ張り出す補助も考慮され、機器が腕の動きを阻害せず、多くの荷物形状に対応できるように設計されている。
技術開発部次長の中野基輝氏は、「腕を使うときは腰の安定も重要な要素となる。腕補助ユニットとMODEL Yの制御方法は独立しており、作業員が補助のタイミングを任意に決められる仕様とした」。バッテリーについてはMODEL Yのものを共有し、稼働時間はおおよそ4時間だという。
腕を補助する流れは、腕のスイッチを押して荷物を抱えると、センサーで握力を計測し、背中の巻き上げ機構によりグローブを引っ張り上げる。腰に装着したMODEL Y側では、腰の動きを検知し、動きを補助する。
実験では、5人の被験者が、20キロのビールケースを75センチの高さの机に5分間連続で上げ下げを行った。何も着けない場合は、3分ほどで、ビールケースが机に当たってしまい、明らかに作業のペースが落ちた。荷物運搬回数を数値化した比較では、個人差はあるものの最大で37.7%の効率化につながったことがデータとして示された。
藤本氏は、「現状、課題となっている安全性に加え、品質と安定性についても検証を進め、2020年度には実用化したい。まずはMODEL Yの既存ユーザーを優先させて腕の機能を付与していく。MODEL Yはこれまで400台の導入実績があり、今後は1000台を目標に量産化を図っていきたい。販売はパナソニックと、建設分野で太いパイプを持つ三井物産、さらにATOUN直販でも行っていく」と解説した。
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