「次に来るのは“大脳積んだドローン”」UAV開発の先駆者・野波健蔵氏の講演から探る:第5回国際ドローン展(4/4 ページ)
「フォールトトレランス/フェイルセーフ」と呼ばれる墜落しないドローンの機能とは、飛行中の異常診断が可能で、ミッションの継続・中止の判断を自ら判断するものだ。頑強なフライトコントローラーを持って、あらゆる事態を補完し適応できる能力を持ち、最悪でも不時着はするが墜落はしない制御系を構築している。
“大脳”を積んだドローンは、「ビジョンのみでも目的地まで飛行できる生物型飛行」と表現される。危険回避や実時間経路計画と再計画など、知能型飛行をAIにより自律的に行う。気象や電波を含む3次元環境変化の瞬時認知を可能にし、正確な自己位置の認知機能を実装している。そこでは、GPSを使わずに地上支援システム(UTM)などとカメラなどを使用して、長距離を飛行させ、目的地に高精度で着陸できる鳥のような飛行ができるという。
さらに、野波氏は「そうした課題と展望を踏まえると、最も求められているのがソフトウェアエンジニアだ。世界的に人材が不足しており、獲得競争が激化している。ソフトウェアを開発する人材の確保・育成が新たな世界的な課題として浮かび上がってきている」と示唆し、締めくくった。
ドローン人材の需要
- 土砂災害の復旧準備を最短化、“西日本豪雨”の被災地を「UAVレーザー測量」で調査するテラドローンに聞く
日本列島を立て続けに襲う大雨と地震。これに伴い甚大な被害をもたらすのが、土砂崩れ・地すべりなどの「土砂災害」だが、その災害状況の計測も2次災害のリスクから困難を極める。そこで、現在活躍の場を広げているのが「UAVレーザー測量」である。最短で即日にフライト計測し、中一日で測量精度1/500に基づく地形データの提出が可能だ。“西日本豪雨”の土砂災害状況を調査するテラドローンの関隆史、河越賛の両氏に話を聞いた。
- 自律飛行ドローンで不審者を発見、KDDI・セコムなどが実証実験
NEDO、KDDI、セコム、テラドローンは、世界で初めて4G(第4世代移動通信)を活用した自律飛行ドローンによる警備実証実験を実施し、広域施設の遠隔巡回警備に成功した。広域や夜間など警備員の人的資源が不足しやすい現場にも、警備ドローンが警備行動を人に代わって行うことで効率的な警備が可能になる。
- 建築用ドローン点検は普及するか?業界のパイオニアに聞く
ここ数年、建築・土木の分野でのドローン点検が、さまざまな展示会で出展されるようになり、各社のブースに人を集め話題となっている。空撮した俯瞰画像や映像からデータ解析するタイプのサービスが多くみられるが、ビルやインフラを実務レベルでドローン点検するとなると、調査診断のノウハウや画像解析の技術が必要になり、実証実験の回数がおのずと求められる。
- 第1回ドローンによるインフラ点検の動向・最新技術のフォーラム開催
ドローンによる橋梁や鋼構造物のインフラ点検が検討されているが、ハードルの1つとなっているのが、操縦者の視界を超えてドローンが飛行する「目視外飛行」。現状で電波障害や運行システムの整備などの課題があり、実現すれば人の目の届かない遠隔地でのインフラ点検や水中のダム・河川点検などへも活用の場が広がることになる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.