さらに、国土交通省に申請された飛行許可の届け出状況を分析。「オンラインで飛行申請ができるDIPS(ドローン情報基盤システム)の開始が後押しして、顕著に申請件数は伸びている」。2018年1〜11月末時点で3万276件で、これは1日当たり100件程度が許可されている計算になる。
「許可の内訳を見ると、2016年と2018年を比較して、目視外飛行が10%から17%、夜間飛行が9.8%から15%まで増えている。難しいフライトが相対的に伸びてきており、飛行への信頼性が増していることが読み取れる。また、飛行シーンが多様化してきていることも、このデータからは分かる」。農林水産業やインフラ点検などの用途ごとに、ドローン活用が浸透しており、とくに空撮以外の産業目的が飛躍的に拡大している。
各業態の状況をみると、農林水産分野はさまざまな用途での運用が増加してきている。研究開発が進んだ結果、農薬散布は事業化のフェーズに達している。これらについて、「現在、“ドローン・ビッグ3(スリー)”と呼ばれているのが、研究開発費1位の米国、飛行時間最長のイスラエル、民生用ドローンで最多の日本という3カ国だ。日本は農業用ドローンだけで4000台の登録があり、ICTを活用した農業の高度化、いわゆる『スマート農業』と並行して発展の幅が大きい」。種まきの播種(はしゅ)や鳥獣対策でも使い道が広がっていることにも触れた。
建設・測量の分野では、「土木が建築に先行して事業化の段階に差し掛かっている」として、UAV搭載型レーザスキャナーを用いた公共測量マニュアル(案)など、基準類が整備されつつあることや、SfM(Structure from Motion)/MVS(Multi View Stereo)など3次元モデル化ソフトの登場がドローンの活用に拍車(はくしゃ)をかけていることを要因として挙げた。
他方、「建築物はコンマ数ミリ単位の点検精度が求められ、実用化までにはハードルがいくつもある。ただ今後の技術開発が進めば可能性はある」と期待を寄せた。
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