トプコンと、オートデスクは、建設・土木分野における「働き方改革」の実現に向け、戦略的パートナーシップ契約(ISV:インディペンデント・ソフトウェア・ベンダー バンドル契約)を締結した。これまでの業務提携から一歩踏み込み、なかなか進まない現場レベルでのBIM/CIM活用を目指し、トプコンの全国4拠点でのトレーニングやサポートも含めた一気通貫のソリューションを提供する。
トプコンとオートデスクは2019年3月12日、BIM/CIMの現場での活用普及を掲げ、戦略的パートナーシップ契約を締結した。トプコンのポジショニング機器(測量機器やICT建機など)と、オートデスクのBIM/CIMソフトウェアを融合させ、ハードとソフト、さらにクラウドも一体化させた、建設業界の生産性向上を実現させるトレーニングやサポートも含めた“ワンストップソリューション”を提供する。
これまでのBIM/CIMの課題だった設計と施工間でのデータ連携のギャップ、3次元モデルを活用した関係者間のコミュニケーション、設計変更などのタイムリーな共有が可能になる。
契約締結日の3月12日には、都内で両社による発表会が開催され、トプコン取締役兼常務執行役員の江藤隆志氏は、協業の意図を解説。両社は既に2012年、米国で業務提携を交わしており、国内でもi-Constructionがスタートした2015年には、建設業における連携体制を構築している。
今回のパートナーシップ契約には、「国内の土木業界が抱える構造的な課題を解決することがある」とした。日本の国土は61%が山地を占め、例えば日仏新幹線ルートの工事では、TGVでは99%が土木、残り1%が橋梁(きょうりょう)だったのに対し、上越新幹線の工事では橋梁・高架が60%、土木はわずか1%にとどまる。
「山地が多く急峻で、橋、トンネルの構造物が多いため、昔から施工効率を上げる高い技術が先行して発展し、橋やトンネルについては世界有数の技術力を有する。一方で、3次元データは平地ならデジタル化するのは容易だが、複雑な山岳地では3次元の形状認識も複雑で、いったん紙に落とし込むなど活用が進んでいない。現実にトンネルや橋梁の工事に比べ、土工事の生産性は改善されてはいない」と指摘した。
また、建設業全体が抱える課題で、技能労働者約340万人のうち、今後10年間で約110万人の高齢者が離職する可能性がある。就業者数も1997〜2014年の17年間で15〜34歳が半減し、全体の55%が45歳以上となっている。こうした建設業者数/建設労働者数の減少、就業者の高齢化、技術者の減少により、今後10年で労働力の大幅な縮小は避けられない状況で、生産性を向上させる作業体形の構築は急務とされている。
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