3D地図とBIM/CIMの統合モデルをVR化して、ヘッドマウントディスプレイを装着して仮想空間に入り込んで見れば、街並みを疑似的に体感することができ、施主や周辺住民と合意形成を図る上で有効なツールとなる。
施工計画においても、着工前の周辺構造物との干渉チェック、各施工段階での重機やクレーンの現場での配置確認にも役立つ。マンション建設の例では、高層階からの眺望、とくに夏に近場で開催される花火大会が何階のベランダやテラスから見えるかを確認することもあるという。
最近では、都市空間の風・熱の流れを見える化して、環境変化のシミュレーションを行うケースも増えている。新たに高層ビルが建つことで、ビル風が周囲にどう影響を与えるかの分析に利用されている。
また、当初がカーナビゲーション向けだったこともあり、運転シミュレーション向けでは、都市モデルを用いた走行コースに、追加の現地撮影情報を組み合わせることで、白線のかすれ、標識、交通流、天候などが詳細に再現される。車両運動シミュレーターの路面情報と同期を取りながら、ゲームエンジン上で、道路の合流・分岐や高速の走行確認などを高画質なVR空間でシミュレートすることもできる。
他の使用用途では、交通量の解析、災害時に河川の氾濫を想定した避難シミュレーションなど、複雑な解析結果をわかりやすい3D表現で可視化することにも活用されている。
ゼンリンの担当者は、「3D都市モデルは、東京23区と大阪市内の全域に加え、政令指定都市は中心部のデータを提供している。これらは常時用意しており、年1回データを更新。別途ユーザーの要望するエリアがあれば、個別対応することは可能だ」と話す。
2019年4月から新たにサービスを開始するオンライン版は、まず専用サイトで必要なデータ範囲・仕様をリクエスト。クラウド上にある3D都市モデルの全エリアと、広域3次元モデルの日本全国のデータがユーザーの利用しているソフト向けに最適化され、これをダウンロードするまでが一連の流れ。今までは、最小単位でも、地図上で4ブロックの取得が必要だったが、オンライン版では、ピンポイントで必要な場所を指定できるようになる。
対応ソフトウェアは、Lumion、Autodesk Infraworks、Autodesk Navisworks、Autodesk 3ds Max、Autodesk Maya、Rhinocerosの主要7ソフトには、プリセットが用意されており、ユーザー自身でプリセットを編集することにも可能だ。
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