市場分析や国交省の講演など建設業の問題をICTで解くセミナーを開催、ヒューマンタッチ総研(3/4 ページ)

» 2018年11月30日 06時00分 公開
[石原忍BUILT]

2018年度内には計200件の実施を目標

 3次元データに関しては、2012年度から橋梁(きょうりょう)・ダムなどを対象に採用して、2017年には132件にまで増加している。2018年度は大規模構造物による詳細設計で原則BIM/CIMの活用を目指す。他に「新技術導入促進調査経費」などにより、2018年度内には、計200件の実施を目標としている。

 運用面では、3次元モデル表記標準(案)、契約図書化、オンライン電子納品システム/電子データ流通・利活用システム、BIM/CIM事業のフォローとして、モデル事務所の設置などにも取り組んでいる。さらに、国際的なCAD会社中心の業界コンソーシアム「building SMART International(bSI)」での3次元データモデル国際標準化に従って、既に策定している建築分野に続き、土木分野は2020年度をめどに、国際標準化に向けた検討を進めている。

BIM/CIM活用業務・工事件数の推移
BIM/CIM国際標準化への対応

 新技術活用に向けた取り組みでは、ニーズ・シーズのマッチングを加速させる会議を国交省だけでなく各地方整備局でも開催。また、「新技術導入促進調査費」として、2018年度に11.8億円を計上し、公共工事でインフラ点検ロボットなどの新技術導入を促す。

BIM/CIMモデルは、人間とAI、ロボットが意思疎通するためのプラットフォーム

 第1部の最後には、イエイリ・ラボの家入龍太氏が登壇。家入氏は「建設業の労働生産性を上げるためには、労働時間の無駄を無くし、労働の付加価値を上げることが必要だ。そのためのi-ConstructionはIoT(モノのインターネット)そのものだ」と定義して、建築や土木の実物を3次元データ化し、AIで思考して、ロボットで実作業する生産性向上の将来像を示し、現在既に始まっているICTと建設のさまざまな実例を紹介した。

家入氏が示すi-Constructionの本質

 その中で、「AIやロボットが人間の同僚や部下のように一緒になって働く時代」になったとして、立命館大学のAIでコルビジェ風デザインの自動生成、積水ハウスの天井石こうボード施工ロボット、竹中工務店とHEROZとの協業による70%の作業を削減したAIの構造設計、産業技術総合研究所の自立型ロボットなどを取り上げた。

 最後に、「AI・ロボットは、まずは融通の利かない社員として、ロボットと人間が1組になり1.5人分の仕事を担う。これにより人間1人あたりの労働生産性は1.5倍になる。AIやロボットと協業するためには、“建設の専門知識”、AIやロボットを動かす“論理的思考力(プログラミング力)”、ITシステムを選んで使う“創意工夫力”の素養が求められる。その中で、BIM/CIMモデルは、人間とAI、ロボットが意思疎通するためのプラットフォームに進化していくだろう」とまとめた。

 第2部では、生産性の向上や従来手法を代替するような品質管理の高度化など、最新の建設向けソリューションを提供する企業4社がプレゼンを行った。

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