ヒューマンタッチ総研は、「建設業界を魅力ある業界へ 生産性向上と働き方改革」をメインテーマに掲げた建設技術者を対象としたセミナーを開催した。建設現場の最前線で活用されているICT技術やIoTネットワークインフラ、建設生産支援クラウド、話題となっているRPAの建設業界への導入についてなど、豊富な事例を交えて紹介した。
ヒューマンタッチ総研は2018年11月27日、「建設業界ための生産性向上・働き方改革ソリューションセミナー」を東京・新宿のAP西新宿で開催した。講習会は2部構成で、各講座の参加修了者には、建築系と土木系の継続学習制度(CPD/CPDS)の認定1ユニットが付与された。
第1部は、基調講演として、建設業界の生産性向上と働き方改革の取り組みや展望について、ヒューマンタッチ総研、国土交通省、イエイリ・ラボの3者が順に講演。
冒頭、ヒューマンタッチ総研 所長・高本和幸氏(ヒューマンタッチ代表)は、建設技術者の「2025 未来予測」と最新意識調査レポートを解説した。高本氏は「ヒューマンタッチ総研は、“建設業界の明るい未来のために”をスローガンに掲げ2015年に発足した。業界の抱える人材不足、高齢化、受注産業故の生産性が上がらない、野外での作業でなかなか働き方改革につながらないという4つの課題を解決することが目的。現在では、独自分析・月次レポート、意識調査、各種セミナーを展開している」と設立意図を語った。
建設市場の動向についてはまず、高本氏が建設技術者の人材動向に関する最新レポートを報告。建設市場は拡大しつつある中、高齢化の波は押し寄せてきており、技術者の不足感は依然として高まり続けるとした。
こうした状況を踏まえ、ヒューマンタッチ総研が国勢調査をベースに分析した「2025年 未来予測〜2018年版〜」では、建設技術者数の将来シミュレーションを行った。他職種からの入職、新卒の建設技術職入職、他職種への転職、定年による離職の4つを要因に、何も対策を講じなければ2025年には“6万7219人”が不足する事態に陥るとした。
これを防ぐため、「生産性向上(2025年までに10%向上)」と「働き方改革(製造業レベルの1958時間委10年間で削減)」が不可欠となる。この2つが達成されれば、2025年に不足する建設技術者は8920人まで減り、生産性向上が図れないシミュレーションに比べ5万8299人分の労働力が改善される。つまり、生産性を向上することで、収益性が改善され、さらに建設投資が増える好循環が生まれる。
生産性向上のためには、ICTやAIなどの新技術導入が必須であり、総研のアンケートでは、1年前で30%しかなかったICT施工への興味が今や56.3%と半数を超えている。しかし、高本氏は「ICTに興味があっても、これを使いこなせず放置してしまっては意味がない。ICTを導入するだけでなく、“育成”することが必要だ」と提言した。
次に国土交通省 大臣官房技術調査課 課長補佐・橋本亮氏が「建設現場の生産性向上を推進するi-Constructionについて」と題した基調講演を行った。
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