橋本氏は、現状の建設業界について、建設投資額は1992年度の約84兆円から、2010年度の約41兆円を底に、2018年度は約57兆円となる見通し。一方で、建設業者数は2017年度末で約46万業者おり、1997年度末に比較して約23%減。建設業就業者も2017年平均で498万人で、1997年平均から約27%減少している。
現場サイドの調査を見ても、建設技能労働者の過不足率が不足傾向にある。高齢化が進み65歳以上の就業者が多く、若年層の入職が少ないため、人手不足による供給制約が高まる恐れがある。
こうした事態に国交省では、「建設業は社会資本整備の担い手であると同時に、社会の安全・安心の確保を担う重要な役割があると位置付け、建設業の賃金水準向上や休日の拡大などによる“働き方改革”と、建設生産プロセスにICTなどを活用する“i-Construction”で解決することを目指している」と語った。
i-Constructionは、2025年度までに生産性で2割の向上を掲げ、2016年度からは「トップランナー施策」を進めている。施策は「ICTの全面的な活用(ICT施工)」「全体最適の導入」「施工時期の標準化」の3本柱を標ぼうし、2018年度はi-Construction「深化」の年と定め、ICTの活用拡大、3次元データの利活用、新技術活用に向けた取り組みに着手している。
ICT活用では、維持管理、建築(官庁営繕)、その他の河川浚渫(しゅんせつ)や港湾基礎工などへのICT導入をはじめ、中小企業への支援、3次元設計の大規模構造物への適用拡大、現場ニーズと技術シーズのマッチングの4点を進める。その先には、ICT施工の工種を「地盤改良工」や「舗装工(修繕工)」にも拡大。点群データも、付帯構造物や法面工で利用し、施工管理、出来高、出来形管理の効率化を図る。新しいところでは、通信を介し、遠隔地から点群データや施工時の履歴データを用いて施工管理を2018年度に試行する。
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