凸版印刷は、Ra100に限りなく近づけたLED照明とナノ粒子プラスチックシートの組み合わせによって、太陽光が大気層を通過する際に生じる「レイリー散乱」を人工的に再現するLED照明システムの本格的な販売をスタートした。
凸版印刷は、太陽や青い空の“自然光”を再現するLED照明システム「CoeLuxExp Sky(コエルクス・エクスペリエンス・スカイ)」(以下、コエルクス)の本格的な販売を6月からスタートした。
いち早く、コエルクスの採用先として、同社が2018年6月7日に新設した地方創生・観光立国の共創拠点「NIPPON GALLERY TABIDO MARUNOUCHI」(東京都千代田区丸の内3-4-1 新国際ビル1・2F)に設置されている。
コエルクスは、イタリアのInsubria(インスブリア)大学に端を発するベンチャー企業・CoeLuxが開発した屋内照明設備。物体の色の見え方に影響する演色評価数を限りなくRa100に近づけたLED照明と、ナノ粒子プラスチックシートの組み合わせによって、太陽や青い空といった自然な光を再現することに成功している。
具体的には、太陽光に近い波長のLED光源から照射された光が、大気層の役割を担うナノマテリアルによるシートを通過することで、人工的に「レイリー散乱」を生み出している。コエルクスでは、レイリー散乱の晴天真昼時における短波長光成分が専ら散乱することで、空が青く染まって見える現象を再現。
これらの技術により、コエルクスを屋内空間の天井部に設置すると、空のように青い天窓、自然光に似せた暖かみのある黄色い光、太陽をイメージさせるホットスポットと、本物の窓からの光と見分けがつかないほどの「日当たりの良い空間」が演出可能となる。
導入・設置にあたっては、2016年度決算で対前年比200%超の売上を記録するなど成長著しい屋外広告業者・タテイシ広美社と連携する。主に、都市型ホテルや商業施設、マンションなど都市住空間向けに販売展開していく。
詳細な用途提案としては、天候などで採光が不十分な立地または建物地下階の課題解決、UV対策で窓がない美術館・博物館での自然光演出、セキュリティ上の問題から窓が設置できない職場の労働環境改善、病院や処置室の閉塞感緩和、試着室で日光下での着用イメージの確認――などを挙げている。
システム価格は、送料と施工費別途で460万円から(レートにより変動)。施工期間は輸入期間込みで約2カ月半としている。現在、自然光が持つメンタルヘルスケア効果にも着目し、大学などの外部期間と協力して人間に与える心理的な効果も検証中だ。
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