作業時間に関しては、撮影した写真をクラウド上にアップロードした後、数分でひび割れを検出するため、作業時間短縮につながる。幅4.5m×高さ2m×長さ25mのボックスカルバート内部を対象にした試験では、近接目視に対し、4分の1の作業時間でほぼ同等の結果を得た。
特殊な高性能カメラを利用していることで、レンズの焦点距離が従来と同程度の場合、対象物までの距離が従来の約2倍でもひび割れを検出。最大で50m離れた場所から撮影した場合でも0.1mmのひび割れを察知した。一度に撮影できる範囲も10m×7m程度まで拡大し、撮影枚数を従来の5分の1に抑えられるメリットも生じた。
さらに、従来は自動検出が難しいとされていた暗い場所や曲面での自動検出を実現した。今までは基本的に高架橋の床版などの平面を対象としていたが、曲面を撮影した場合でも、ひび割れ幅と長さを高い精度で推定できることを証明。形状を問わず、照明の有無や明るさの変化などで、検出精度が左右されることがないため、従来技術に比べ簡易で安定した点検が可能となった。
大林組は、今回確立した手法を、さまざまなコンクリート構造物の初期点検に積極的に展開し、安全性の高いインフラの構築・維持に取り組んでいくとしている。
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