アドバンスト・メディアは、音声認識技術を利用した建築検査向けサービスを開発した。音声入力の活用によって、配筋検査や仕上げ検査に掛かる時間を最大40%短縮できるという。
アドバンスト・メディアは2017年8月22日、音声認識技術を活用した建築工程管理のプラットフォームサービス「AmiVoice スーパーインスペクションプラットフォーム」を開発し、同年9月から販売すると発表した。音声認識を利用して入力作業の手間を省くことで、配筋検査や仕上げ検査に掛かる時間を、手書き入力と比較して最大約40%削減できるという。
アドバンスト・メディアは独自の音声認識技術「AmiVoice」を強みに、議事録作成や入力作業の自動化などの各種サービスを展開している。2016年からは、生産性の向上が課題となっている建設業界向けに、業界特有の用語も識別できる専用音声認識エンジンを利用したサービスの提供を開始。第1弾として2016年1月から販売を開始した建築仕上げ用のサービス「ス―パーインスペクター」は、大手ゼネコンをはじめ累計50社以上に導入されているという。
今回発表した「AmiVoice スーパーインスペクションプラットフォーム」は、建築仕上げに加えて、顧客からの要望が多かった配筋検査に対応したのが特徴だ。
鉄筋コンクリートは、コンクリートの打設前に鉄筋が設計図面通りの正しい位置に配筋されているかどうかを確認する。これが配筋検査だ。一般的な方法では、検査箇所を設計情報に書き込んだ黒板などと撮影し、目視で鉄筋径や刻印などを確認している。検査箇所は数千以上に及ぶことも多く、撮影した写真の管理や帳票の作成なども含め、多くの時間と手間が掛かっていた。
AmiVoice スーパーインスペクションプラットフォームは、作業者が装着したマイクと、スマートフォンやタブレット端末を利用して、これらの作業を効率化することができる。端末上に表示される施工図から検査したい配筋リスト(階・部位・符号)を選択し、端末のカメラで是正前もしくは是正後の写真を撮影する。これと作業と同時に、検査箇所の指摘事項や検査コメントを音声入力で記載することで、簡単に検査内容を記録できるシステムだ。図面や書類、カメラ、電子黒板などを持ち運ぶ必要がなく、全てスマートフォンやタブレット端末とマイクのみで作業を行える。
入力した指摘事項などの情報と撮影した写真は自動でひも付けが行われる。配筋写真の管理システムも備えており、管理画面では撮影した写真の上に電子黒板が表示される。この時、電子黒板には写真情報の入力画面から事前に入力した内容が自動で反映される仕組みだ。こうしたシステムによって、従来、事務所に戻ってから行っていた、帳票の仕訳や写真の照合作業などが不要になる。帳票の出力形式はPDFもしくはExcelに対応する。
同プラットフォームは、こうした配筋検査に加え、仕上げ検査にも対応する。こちらは既に提供しているスーパーインスペクションに改良を加えたもので、端末上の図面から点検・検査場所を選択し、室名・部位・指摘事項をまとめて話すだけで検査記録を作成できる。
配筋検査、仕上げ検査ともに、作成したデータはクラウドサーバ上に保存される仕組みになっている。管理者はこれらのデータをPC上からまとめて管理することが可能だ。
利用料金は基本料金が2980円(税別、以下同)で、この中に30GB分のサーバ利用料が含まれている。容量は5GB/980円で追加可能だ。その他の各サービスは、配筋検査サービスが1980円、配筋写真管理サービスが1万4800円、仕上げ検査が9800円となっている。対応端末は現時点ではAppleのiOS搭載端末となっている。
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