小柳氏はHoloLensの活用を決めたきっかけについて、建設業界の課題を挙げる。2020年の東京五輪や自然災害により需要は高まっているが、古い業界構造や少子高齢化により、将来の担い手不足が深刻化している。国土交通省中央建設業審議会の資料によると、2025年には47〜93万人の技能労働者が不足するという。
小柳氏は「業界に一石を投じてイノベーションを起こすことで、建築をカッコいいと思ってもらえる仕事にしたかった」と語る。その中でHoloLensと出会い「これはいける!」と直感。建設事業者として、国内初の導入を決めた瞬間だった。
「技術者は2Dの図面を見て、頭の中で3D化できたら一人前といった風潮がある。この作業には数年掛かる。HoloLensによって入社した日から3Dデータを共有できること、顧客とは遠隔地でも同じデータを共有できることに大きな価値を感じた」(小柳氏)
小柳氏によると、ベテランの社員はHoloLensの導入に当初「たいしたことない」といった反応を示していた。しかし実際に体験してみると「とんでもない時代になっていたのか」とHolostructionに対して理解を示し、社内のベクトルも変わったとする。
現時点での課題について、日本マイクロソフトの担当者は「ホログラフィックの技術は発展途上であるため、視野角の狭さやデバイスが重いといった指摘はあった。業務に適用する部分については、さほど大きな課題はないと考えている」と語った。
小柳建設は今後行政機関などに対して、HoloLensの体験会を開催する予定。2018年度中に自社工事で検証することを目指す。日本マイクロソフトもデバイスの使い方講座やコンテンツのホログラム化を通じて、建設業界のデジタル化を支援していくとした。
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