交通事故の兆候を見逃さない「生成AIの目」 NTTがインフラ監視の検知距離を3倍に:スマートメンテナンス(2/2 ページ)

» 2026年10月28日 20時36分 公開
[石原忍,BUILT]
前のページへ 1|2       

VLMへのデータ送信量やトークン処理量を減らし、コスト削減や省電力も実現

 実証実験では、高速走行する車両の衝突や停止など、事故発生の瞬間を含む1分間(1800フレーム)の4K映像を用いた。従来のVLMへ直接入力する方式では、画像縮小のため、対象車両が潰れ、事故を検出できなかった。今回の新技術では、停止車両を高精細に検知し、周辺車両の状況などと合わせてVLMに渡すことで、正しく「事故に該当する状態異常」と判断することに成功した。

実証実験の評価結果 実証実験の評価結果 提供:NTT

 また、危険事象が発生した時のみVLMを起動するイベントドリブン処理(イベント駆動制御)で、VLMそのものの実行回数を1800回からわずか34回へと、約98.1%の大幅な削減を実現した。そのため、クラウド側にあるVLMへのデータ送信量やトークン処理量を劇的に抑え、通信コストや監視システム全体の消費電力を低減する。エッジ側で常時稼働するLSI自体の消費電力も20ワット以下と小さく、省電力で運用できる。

PoCシステムでの処理フロー詳細 PoCシステムでの処理フロー詳細 提供:NTT

 発表会で本技術の実装イメージについて、NTTデバイステクノロジーセンタ コンピューティングデバイスプロジェクト担当部長 鵜澤寛之氏は、「カメラのような末端デバイス(エッジ)に直接搭載するパターンの他、PCに装着できるPCIeカード形式なども計画している」と説明。また、高精細なまま物体を捉えられる特性を活用し、「路肩のポール設置数検討といった道路用途だけでなく、ドローン監視やオープンカーの乗車確認など幅広い分野への応用が見込める」と有用性を語った。

 NTTは本技術を、高精細映像から後段の解析や判断に必要な情報を効率的に抽出/伝達する「生成AIの目」と位置付け、監視分野の高度化を推進していく。

 2026年11月18〜20日にNTT武蔵野研究開発センタで開催する「NTT R&D FORUM 2026」で動態展示する。その後、NTTイノベーティブデバイスを介して、2026年度内に今回のLSIを搭載したエンジニアリングサンプル製品の提供を開始する。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

特別協賛PR
スポンサーからのお知らせPR
Pickup ContentsPR
あなたにおすすめの記事PR