帝国データバンクは、主要上場建設会社50社の2025年度業績動向調査を発表した。人手不足に伴う施工能力の制約を背景に、価格転嫁が進み、約9割の企業で売上総利益率が改善した。
帝国データバンクは2026年8月20日、「主要上場建設会社50社」の2025年度(2025年4月〜2026年3月期)の受注/業績動向に関する詳細な調査結果を発表した。
深刻な人手不足が業界全体の課題となる中、施工能力の制約を背景に、資材や人件費の上昇分を請負金額へ積極的に転嫁する動きが加速している実態が浮き彫りとなった。
主要上場建設会社50社の2025年度における連結売上高の合計(連結ベース)は、前年度比5.0%増の21兆4097億8200万円だった。
対象企業のうち7割強に当たる36社が増収。売上高の増加率トップは「インフロニア・ホールディングス」(前年度比32.7%増)で、「ナカノフドー建設」(同24.9%増)、「植木組」(同24.8%増)が続いた。
政府の国土強靱化対策などに、けん引された公共投資が堅調で、官公庁からの受注が前年度比6.5%増と回復した他、都市部での再開発計画などの設備投資需要で民間からの受注は引き続き高水準で推移。加えて資材高や人件費上昇分を反映した請負単価の上昇も寄与した。
特筆すべきは、利益率の顕著な改善だ。50社の売上総利益率(連結ベース)は平均で13.5%となり、前年度から1.7ポイント上昇。44社(構成比88.0%)で上昇を示しており、業界全体の約9割で採算性が向上している。
上昇幅のトップは「日本国土開発」(前年度比10.3ポイント増)で、次点で「大成建設」(同5.1ポイント増)。深刻な人材不足に伴う施工能力の制約から、施工そのものを担える企業が限られる中、発注者側がコスト増を受け入れざるを得ない状況になりつつある。各社が利幅の大きい案件を選別し、資材費や人件費の上昇分を請負金額へ積極的に価格転嫁を強力に進めた結果だ。
単体の受注高が判明した37社の受注高合計も、前年度比11.7%増の16兆1026億3700万円と好調。増加率では都市部の再開発で数字を伸ばした「竹中工務店」(前年度比79.0%増)がトップに立ち、「清水建設」(同35.2%増)、「大末建設」(同34.4%増)の順で、20%以上の受注高増加の企業は13社となった。
背景には、防災/減災や国土強靱化の推進に伴う手堅い公共投資に加え、都市再開発や物流施設、データセンター、半導体関連工場などの旺盛な設備投資需要が全体を押し上げた格好だ。さらに、インバウンド拡大に伴う宿泊需要の高まりなど、官民ともに活発な工事発注がみられた。また、資材費や人件費の上昇分を織り込んだ請負単価の上昇も、受注高の増加に寄与した。
官民工事受注高の内訳が判明した27社をみても、官公庁工事が前年度比6.5%増、民間工事が同5.2%増と、双方で高水準に推移している。
かつて業界の主流だった「売上規模の拡大と案件の積み上げ」を重視する戦略から、現在は利益を確保できる案件を選別し、自社の施工能力を基準に受注量を厳格にコントロールする採算重視の姿勢へとシフトしている。資材価格の変動を反映する「物価スライド条項」の適用、設計変更に伴う追加契約の運用も、その一環で進んでいる。
帝国データバンクでは、「当面の建設需要は底堅く推移すると予想されるが、人口減少による人手不足のさらなる深刻化は確実視されている。需要が堅調な今のうちに、生産性の向上や経営基盤を盤石にする施策が必要となる」と分析する。
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