2025年9月、東京都杉並区の住宅密集地で、老朽化した擁壁と家屋が倒壊する事故が発生した。アエラホームは東京理科大学工学部 教授 高橋治氏が主導する「擁壁調査プロジェクト」に参画し、建物を支える擁壁まで含めた防災対策に取り組む。
アエラホームは「第30回 震災対策技術展」(会期:2026年2月5〜6日、パシフィコ横浜)に、東京理科大学工学部建築学科 教授 高橋治氏の研究室と共同出展し、全国の老朽化した擁壁/コンクリート塀の診断と改修設計を行う専門窓口「擁壁調査プロジェクト」を紹介した。住宅の建物本体にとどまらず、建物を支える擁壁まで含めた防災対策を打ち出した。
調査結果によれば、全国には倒壊リスクを抱える擁壁が200〜300万カ所存在するとみられ、その多くが都市部に集中しているという。2025年9月には東京都杉並区の住宅密集地で、老朽化した擁壁と家屋が倒壊し、隣接する区有道路やマンション敷地にがれきが流入する事故が発生した。
擁壁の安全性に対する社会的関心が高まる中、2025年に擁壁調査プロジェクトが発足。免震/制震構造設計を専門とする高橋教授氏が総監修を務め、一級建築士事務所、地盤会社、施工会社、材料メーカーらが連携。産学連携の体制で、倒壊リスクの評価から補強計画立案、施工までをワンストップで行う。施工ではアラミドシートに加え、高い強度と柔軟性を持つ表面処理材のポリウレアなどを使用し、高耐久補強を実現する。
現在のプロジェクトメンバーは、高橋氏が設立した東京理科大学発ベンチャーで一級建築士事務所のサイエンス構造、プロジェクト窓口のアエラホーム、調査/施工を担う日本衛生センター、ポリウレア専門施工の金森藤平商事、大規模修繕向けの調査/施工/地盤担当のライフベース、擁壁の施工に使用するアラミドの提供元として帝人が参画する。
既に個人住宅に加え、古い造成地を抱える自治体や管理組合、擁壁付きの土地を売買/開発予定の企業からも問い合わせが寄せられている。擁壁の評価では、写真や資料、必要に応じた現地調査を基に、「工事が必要か」「必要な場合はどの程度が適切か」を整理して提案する。また、過剰工事を避けるためのセカンドオピニオンにも対応する。
アエラホームは2025年12月からプロジェクトに参画した。担当者は「これまでは住宅の新築やリフォームなどを通じて、建物の安心/安全を提供してきた。住宅は地盤や擁壁の上に成り立っている。基盤部分まで含めた対応が必要だと考えた」と説明する。
プロジェクトでアエラホームは、擁壁やブロック塀に関する相談の総合窓口を担う。専用窓口に寄せられた問い合わせに対し、メールでのやりとりやオンライン面談を実施。調査/施工を行う場合は元請けとして対応する。相談内容は「擁壁が少し膨らんでいるようだ」といった劣化への不安から、「擁壁付き物件の購入を検討しているが安全性を確認したい」といった購入前の相談まで多岐にわたるという。
住宅メーカーのアエラホームにとって、擁壁の安全性評価や補強はこれまでの従来の事業領域とは異なる。知見を持つ専門家や他社とタスクチームを組むことで、各社の技術を持ち寄って課題解決に当たる。
擁壁の調査を契機に、建物の改修や建て替えの検討に発展するケースも想定している。担当者は「新築前に敷地のリスクを確認したいという需要もある。自社新築事業で擁壁の調査から住宅建築までワンストップで提供できれば、顧客からの新たな信頼獲得にもつながる」と語る。
都市部を中心に、一部自治体では擁壁工事に補助制度を設けている。こうした地域を中心に、順次全国対応する方針で、当面は月10件程度の調査数を目指す。
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