前田建設工業は、能登半島地震の復旧工事でバックホウを使用した遠隔施工の実証を行った。約500キロ離れた茨城県取手市の「ICI総合センター」から、基本的な操作を問題なく実施できることを確認した
前田建設工業と前田製作所は2026年1月26日、石川県珠洲市真浦町で施工中の斜面復旧工事で、約500キロ離れた茨城県取手市の前田建設工業研究施設「ICI総合センター」から、バックホウの遠隔施工の実証を行ったと発表した。
国土交通省北陸地方整備局発注の「R6 249号珠洲地区道路復旧その2工事」で、コマツとEARTHBRAINが共同開発した遠隔操作システム「Smart Construction Teleoperation」を適用。
現場では、崩壊した斜面上部の崩積土をクライミングバックホウで排土し、直下で有人のバックホウに集積する計画だった。しかし落石や転石などの危険が想定されるため、作業員が斜面崩壊直下に立ち入らずに作業できる遠隔操作システムを導入し、安全性の確保を図った。
実証では、取手に設置した遠隔操作用コックピットから、建機に搭載したカメラ映像を確認しながら操作を行った。コックピットの制御信号は中継室を経由し、変換器を介してラジコンプロポに伝達される。現場のバックホウは、ラジコンプロポからの信号を受けて稼働する仕組みだ。
現場では通信環境の確保が前提となる。通信環境はStarlink Businessを活用し、通信速度264Mbps、遅延120msと遠隔操作に必要な性能を満たした。特に上空視界が開けた海側にアンテナを設置した際に通信が安定することを確認。設置位置による通信品質への影響と適切な配置による改善の可能性が示された。
また、掘削や集積、土砂の仮置きといった基本操作が、俯瞰カメラを併用することで遠隔操作でも問題なく行えることを確認。一方、奥行きの把握が必要な精密整形や急斜面での走行、流れ作業による高速施工では操作の難易度が高いことが明らかになった。歩掛りも有人施工の約0.5倍にとどまった。
前田建設は今回の実証を通じ、遠隔操作技術の課題が抽出できたとして、今後も災害復旧や危険作業の安全確保を目的に遠隔操作システムの導入検討を進めるとしている。
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