人工衛星とAIで不動産登記と現況の差を見える化 「宇宙から地球の不動産市場を変える」WHERE不動産テック

アクセルスペースとWHEREは、人工衛星の地球観測画像とAIを用い、不動産登記情報の高精度化を図るPoCを開始した。対象エリアは東京、神奈川、埼玉など6都府県で、都市開発や土地利用の変化を自動検知し、登記情報と照合する。

» 2025年10月07日 11時00分 公開
[BUILT]

 アクセルスペースと不動産AIツールを提供するWHEREは2025年9月17日、人工衛星画像とAIを活用して不動産登記情報の精度を高めるPoC(概念実証)を共同で開始したと発表した。

「見えない不動産」を宇宙からの視点で見える化

不動産登記情報の精度を高めるPoCを開始 不動産登記情報の精度を高めるPoCを開始 出典:アクセルスペースプレスリリース

 PoCでは、アクセルスペースが運用する光学地球観測衛星「GRUS(グルース)」による画像データと、WHEREの不動産探索AIを連携させ、現地調査や紙資料に頼っていた土地の現況把握の効率化を図る。

 特に登記情報と現在の土地利用状況に差があるケースに注目し、そのギャップを画像とAI解析で抽出。業者や自治体が利用できるデータとして提供する。

同一地点の差異検出例(左2枚が衛星画像、左から3枚目が目視による差異の検出データ、同4枚目がAIによる自動検出データ) 同一地点の差異検出例(左2枚が衛星画像、左から3枚目が目視による差異の検出データ、同4枚目がAIによる自動検出データ) 出典:アクセルスペースプレスリリース

 今回の検出対象は、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、福岡の6都府県が対象で、1カ月間に複数回撮影した衛星画像を基に土地や建物の変化をAIで検知し、登記情報と照合する。検知した差異データを事業者や自治体に提供することで、実務による技術検証とニーズ調査を行う。

 今後は都市部だけでなく、空き家や休耕地が多い地方都市、災害リスクの高いエリアにも拡大し、ソリューションの商用化も見据える。

 また両社は、不動産業界にとどまらず、都市計画や防災、インフラ管理、金融分野への適用も進める構えだ。なお、アクセルスペースは、次世代地球観測衛星「GRUS-3(グルーススリー)」シリーズを2026年中に7機打ち上げるという。GRUSは、地球観測を目的にした質量100キロ級の光学小型衛星で、アクセルスペースの地球観測データ提供事業「AxelGlobe」のサービス提供に利用している。

 WHERE 代表取締役 阿久津岳生氏は今回のPoCについて、「WHEREは“宇宙から地球の不動産市場を変える”というビジョンを掲げ、不動産業界の情報格差をなくし、誰もが簡単にグローバルに価値ある不動産にアクセスできる社会を目指している。衛星画像とAIを組み合わせることで、従来は“見えなかった”不動産情報をこれまでにないスピードで可視化し、活用できる可能性がある」と意義を語る。

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