アクセルスペースとWHEREは、人工衛星の地球観測画像とAIを用い、不動産登記情報の高精度化を図るPoCを開始した。対象エリアは東京、神奈川、埼玉など6都府県で、都市開発や土地利用の変化を自動検知し、登記情報と照合する。
アクセルスペースと不動産AIツールを提供するWHEREは2025年9月17日、人工衛星画像とAIを活用して不動産登記情報の精度を高めるPoC(概念実証)を共同で開始したと発表した。
PoCでは、アクセルスペースが運用する光学地球観測衛星「GRUS(グルース)」による画像データと、WHEREの不動産探索AIを連携させ、現地調査や紙資料に頼っていた土地の現況把握の効率化を図る。
特に登記情報と現在の土地利用状況に差があるケースに注目し、そのギャップを画像とAI解析で抽出。業者や自治体が利用できるデータとして提供する。
今回の検出対象は、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、福岡の6都府県が対象で、1カ月間に複数回撮影した衛星画像を基に土地や建物の変化をAIで検知し、登記情報と照合する。検知した差異データを事業者や自治体に提供することで、実務による技術検証とニーズ調査を行う。
今後は都市部だけでなく、空き家や休耕地が多い地方都市、災害リスクの高いエリアにも拡大し、ソリューションの商用化も見据える。
また両社は、不動産業界にとどまらず、都市計画や防災、インフラ管理、金融分野への適用も進める構えだ。なお、アクセルスペースは、次世代地球観測衛星「GRUS-3(グルーススリー)」シリーズを2026年中に7機打ち上げるという。GRUSは、地球観測を目的にした質量100キロ級の光学小型衛星で、アクセルスペースの地球観測データ提供事業「AxelGlobe」のサービス提供に利用している。
WHERE 代表取締役 阿久津岳生氏は今回のPoCについて、「WHEREは“宇宙から地球の不動産市場を変える”というビジョンを掲げ、不動産業界の情報格差をなくし、誰もが簡単にグローバルに価値ある不動産にアクセスできる社会を目指している。衛星画像とAIを組み合わせることで、従来は“見えなかった”不動産情報をこれまでにないスピードで可視化し、活用できる可能性がある」と意義を語る。
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