日立システムズはEIZOとの協業で、インフラ監視映像の統合配信システムの提供を開始した。AIの分析や映像鮮明化で、遠隔地に居ながら効率的な監視で、劣化や不具合の早期発見が実現する。現場作業員が危険な場所に行く頻度も減り、点検業務の人手不足の解消につながる。
日立システムズは、ディスプレイ専業メーカーのEIZOと協業し、先進のデジタル技術と映像技術で、社会インフラ維持管理の現場業務改革をサポートする「CYDEEN(サイディーン) 映像データ利活用システム」の提供を2025年7月に開始した。
道路や上下水道、電力、鉄道などの社会インフラを監視する映像データを統合し、共有、鮮明化、AI分析などの機能を用いて利活用し、老朽化した設備の劣化や不具合を早期に発見する。設備の老朽化に伴う作業の安全性確保、少子高齢化に伴う人手不足などの課題を抱えるインフラ維持管理の現場に安全性向上や業務効率化をもたらし、現場で働くフロントラインワーカーを支援する。
近年、道路、上下水道、電力、鉄道など、生活を支えるインフラが老朽化し、道路陥没やトンネル崩落、コンクリート片落下など、人命に関わる事故やライフラインの寸断といった深刻な問題が発生している。日本では、加速的に老朽化する建物の割合が増え、2030年には「社会インフラの老朽化問題」はさらに深刻化する見通しだ。
CYDEEN 映像データ利活用システムは、異なるメーカーのカメラ映像でも映像を統合して配信し、複数の現場カメラ映像を事務所にいる管理者のPCやタブレットなどのデバイスで閲覧できる。そのため、管理者の速やかな意思決定が可能になり、複数の現場作業者に対して、歩調を合わせたタイムリーな指示を送れるようになる。
経験の浅い作業員が現地映像を熟練作業員に共有すれば、ベテランが毎回現場に駆け付けなくても済む。また、熟練作業員が知る危険回避に関する情報共有や熟練度に頼らない人員配置、熟練作業員の工数削減にもつながる。
映像は不鮮明であっても、リアルタイムまたはオンデマンドで鮮明化してモニターに表示する。人が立ち入るのが危険な暗所などでも撮り直しなく、現場状況を的確に把握したり、老朽化した設備の不具合を発見したりできる。
映像解析には人の目に加え、AIの異常検知や文字認識、自動分類も用い、ヒューマンエラーの発生や人の手による分析工数の削減が見込める。
今後は映像データ利活用の高度化や拡大化に取り組むとともに、新たな映像処理機能の追加やAIを活用したさらなるサービスの開発を進める。
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