スパイダープラスは、建設現場で発生する「ヒト/コト/モノ」の情報を一元的に管理する統合型プラットフォーム「SPIDERPLUS Workspace」の構想を明らかにした。従来の図面/帳票中心の施工管理領域から、労務管理や資機材管理、現場内外の情報連携までを視野に入れた拡張戦略で現場全体のデジタル最適化を図る。
スパイダープラスは2025年7月8日、都内で記者発表会を開き、建設現場で発生する「ヒト/コト/モノ」の課題を一元的に解決する新たな統合プラットフォーム「SPIDERPLUS Workspace(スパイダープラス ワークスペース)」の構想を発表した。
スパイダープラス 代表取締役社長 伊藤謙自氏は「建設DXはここ数年で進展を見せているが、現場には依然としてアナログな業務が多く残っている」と述べ、現場が抱える課題の解決に向けた今後のプロダクト戦略を体系的に示した。
スパイダープラスの建設業向け施工管理アプリ「SPIDERPLUS」はこれまで、図面や検査記録、帳票類の管理といった現場の「コト」に関する課題に特化していた。しかし、現場の生産性や安全性をさらに高めるには労務/安全管理、コミュニケーションといった「ヒト」、資材/機材管理などの「モノ」を含む現場全体の統合的なマネジメントが求められる。こうした考えを背景に、新たなプロダクト戦略として「SPIDERPLUS Workspace」を打ち出した。
プロダクト企画本部長 須藤正司氏は「建設現場には、元請から専門工事業者、職人など多様な関係者が日々出入りする。施工管理のみの部分最適ではなく、情報連携そのものを最適化する仕組みが不可欠だ」と指摘。「ヒト/コト/モノ」に関する情報をデジタルで統合管理し、API連携によって顧客の社内システムや他社製アプリケーションとつながる仕組みが求められていると説明した。
SPIDERPLUS Workspaceは、これまで施工管理領域で培ってきたノウハウを基盤としながら、現場で発生する「ヒト/コト/モノ」の管理を網羅する統合型プラットフォームとして構想。単一のアプリではなく、複数の機能を組み合わせることで全体最適を目指す。
具体的には、チャットや図面共有、フォーム機能などによる情報共有で現場間の連携を強化する「S+Collabo(エスプラス コラボ)」、紙帳票のレイアウトをそのまま電子化できる「S+Report(エスプラス レポート)」、工程/進捗管理を担う「S+Project(仮称)」などが、順次提供される予定だ。
S+Reportは、従来の紙の帳票を見た目そのままでタブレット上に再現できる点が特徴だ。Excel形式で作成された帳票のアップロード、検査機器との数値連携、PDFやExcel形式での出力などに対応し、記録の漏れ防止や信頼性向上に寄与する。現場に根強く残る紙帳票の運用スタイルを尊重しつつ、そのままデジタル化へ移行できる設計とすることで、デジタル化に抵抗のある現場でも導入しやすい。
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