戸田建設は、西松建設、ジオスターと共同開発した山岳トンネル用プレキャスト覆工コンクリートによる2車線規模の実大施工実験に成功した。
戸田建設は2025年6月18日、西松建設、ジオスターと共同開発した山岳トンネル用プレキャスト覆工コンクリートによる2車線規模の実大施工実験に成功したと発表した。実験の結果、安全性と施工性を確認し、実用化に向けて大きく前進したとしている。
山岳トンネルの覆工コンクリートは現場打設が一般的だが、目地部の浮きや剥離、漏水、狭小空間での作業性、養生時間の長さなどが課題となっている。これらの抜本的解決を目指し、3社はプレキャスト工法を共同で開発してきた。
新工法では1メートル幅のトンネル断面リングを3分割した部材を工場で製作する。現場での組み立て作業は坑外の広い空間で行う。架台上で2リング分の部材を左右反転させながら組み立て、継手位置を千鳥配置とする。組み立て後はジャッキで架台を縮小して部材を自立させ、H形鋼レール内のベアリング(鋼球)で摩擦を抑えてウインチで坑内へ移動させる。先行設置済みのリングと鋼棒で連結し、背面へのモルタル注入で裏込めを行う。
実大施工実験は石川県加賀市のエムケーエンジニアリング分校工場で実施。2車線規模のプレキャスト覆工を4リング分使用し、組立、移動、連結までの一連の作業を行った。全行程が安全かつ円滑に進行できることを確認した。
今後は実施工現場への適用を進めながら技術改良を重ね、施工の品質や安全性、生産性の向上を目指すとしている。
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