大成建設はカーボンリサイクルコンクリート「T-eConcrete/Carbon-Recycle」を、高速道路構造物の場所打ち施工に国内初適用した。阪神高速道路との共同研究として、阪神高速道路14号松原線の一部区間で試験施工を実施。CO2削減効果と耐久性を確認した。
大成建設は2025年5月22日、CO2排出量の収支がマイナスとなるカーボンリサイクルコンクリート「T-eConcrete/Carbon-Recycle」を、高速道路構造物の場所打ち施工に国内初適用したと発表した。阪神高速道路との共同研究として、阪神高速道路14号松原線の一部区間(喜連瓜破〜三宅間)で試験施工を実施し、中央分離帯の構築に用いた。
施工には移動式コンクリート製造プラントを使用。従来と同様の場所打ちで施工が可能だと実証した。
T-eConcrete/Carbon-Recycleは、セメントの代替として高炉スラグを使用し、大気中のCO2を吸収して製造した炭酸カルシウムを混合することでCO2を内部に固定。材料に起因するCO2排出量収支がマイナスとなる。これまでは、工場製作によるプレキャスト部材での活用にとどまっていた。
試験施工は2024年7月18日に実施。外気温が30度を超える夏季に、配合や施工法を検討した上で、暑中コンクリートとして適切な施工管理のもと行われた。適用区間は10メートルで、コンクリート数量は5.2立方メートル。
コンクリート1立方メートル当たり294キロ、総量で1.5トンのCO2排出量を削減した。通常のコンクリートを使用した場合と比較して、材料に起因するCO2排出量収支は1立方メートルあたりマイナス20キロとなり、カーボンネガティブを実現した。
また、設計基準強度27ニュートン毎平方ミリメートルに対し、T-eConcrete/Carbon-Recycleは30.8ニュートン毎平方ミリメートルの圧縮強度を示し、設計を上回る強度を達成。施工後1カ月後と3カ月後に実施した耐久性評価試験(トレント法による表層透気試験)で表層品質を確認しており、耐久性の保持が期待できるという。
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