森ビルは東京23区内の大規模オフィスビルを対象とした需給動向調査を実施し、2029年までの年平均供給量は過去の平均を下回るものの、オフィスの大規模化と主要ビジネスエリアへの集積は引き続き進展するとの見通しを明らかにした。
森ビルは2025年5月22日、東京23区内で1986年以降に竣工した大規模オフィスビル(事務所延べ床面積1万平方メートル以上)の需給動向に関する調査結果を公表した。オフィス需要の拡大を背景に2024年の空室率は前年比2.1ポイント減の3.7%まで低下。オフィスの大規模化と主要ビジネスエリアへの集積が進んでいることが明らかになった。
2024年の東京23区の吸収量は113万平方メートルで、前年同様100万平方メートルを超える水準となった。新規供給物件43万平方メートルのうち約9割にあたる38万平方メートルが、主要ビジネスエリアでは同23万平方メートルの約8割にあたる19万平方メートルが吸収された。既存物件の吸収量は前年比約2.4倍の75万平方メートルに達した。
空室率は2023年末から5.8%から3.7%へ低下し、主要ビジネスエリアでは2.9ポイント減の3.3%と、いずれも大幅に改善した。
2025〜2029年までの5年間で予定される大規模オフィスビルの供給量は、年平均92万平方メートルとなる見込み。これは1986〜2024年までの過去平均である年間101万平方メートルを下回る水準で、空室率や賃料などのオフィスマーケットへの影響は限定的とみられる。
ただし、事務所延べ床面積10万平方メートル以上の物件の供給割合は高く、2025年が74%、2028年が80%、2029年が91%と毎年上昇する予測で、オフィスの大規模化が加速する見通しだ。
23区全体の今後5年間の総供給量459万平方メートルのうち、主要7エリア(丸の内/大手町/有楽町エリア、日本橋/八重洲/京橋エリア、渋谷エリア、赤坂/六本木エリア、虎ノ門エリア、田町/浜松町エリア、品川エリア)が342万平方メートルと75%を占める。
特に供給増加が目立つのは、日本橋/八重洲/京橋エリア(35万平方メートル→99万平方メートル)、品川エリア(2万平方メートル→52万平方メートル)、赤坂/六本木エリア(5万平方メートル→40万平方メートル)の3エリアだった。
都心5区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)では、今後5年間の平均供給量は年間79万平方メートル。過去10年の平均年間82万平方メートルをやや下回るが、供給割合は86%と過去10年平均85%とほぼ同水準を維持する。
調査では、立地やビルグレード改善、イノベーティブなオフィス環境への需要が底堅いことを指摘。大幅な景気減速などが生じない限り、オフィス需要は引き続き力強さを維持し、空室率も低下基調が続くとの見通しを示した。
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