小田急電鉄は、2025年度の鉄道事業設備投資に436億円を投じる。世田谷代田〜登戸駅間の高架橋や4駅のホーム上家などで耐震補強に着手する他、2024年度の豪雨で崩れた東海大学前〜秦野駅間の法面補強などを実施する。駅改良では鶴川駅と藤沢駅で、橋上化に向けた基礎工事に着手する。
小田急電鉄は2025年5月13日、「安全対策の強化」と「サービスの向上」を柱とし、総額436億円を計上した2025年度の鉄道事業設備投資計画を公表した。併せて2030年度に向けた成長ストーリーとして、「中期経営計画(2025〜2026年度)」も明らかにした。
2025年度の計画のうち、安全対策の強化では、大規模地震をはじめ激甚化する自然災害に備え、橋梁(きょうりょう)やホーム上家など鉄道施設の耐震補強工事を行う。
耐震補強の対象は、世田谷代田〜登戸駅間の高架橋、海老名〜厚木駅間にある「JR相模線跨線橋(こせんきょう)」、相模大野〜東林間駅間にある「小田原線跨線橋」で耐震補強工事に着手するとともに、読売ランド前駅、相武台前駅、座間駅、長後駅でホーム上家の耐震補強を実施。2024年度の豪雨で盛土法面が崩壊した東海大学前〜秦野駅間の当該箇所で補強工事を進め、構造物の延命を図るために新松田〜開成駅間の「酒匂川橋梁」では劣化した塗膜を塗り替える。
転落や列車との接触事故を防止するために、東京都の「ホームドア整備加速緊急対策事業」などの補助金などを活用し、ホームドアを設置。対象駅は豪徳寺駅、千歳船橋駅、祖師ヶ谷大蔵駅、喜多見駅、狛江駅の計10ホーム。
効率的なメンテナンス手法(CBM)の確立に向け、一部の5000形に搭載したモニタリング装置のシステム構築し、全線でのモニタリングを開始して測定状況を確認するなど、本運用に向けた検証を実施する。従来の検測用車両と比較して、情報取得の頻度が増えるため、鉄道設備の異常を早期に発見可能になる。
サービスの向上では、「鶴川」駅と「藤沢」駅で、地元自治体と連携した自由通路整備事業に合わせて駅舎を橋上化。2025年度は駅舎の基礎工事、鶴川駅では駅舎改良工事とホームドア整備を見据えたホーム補強工事などにも取り組む。
車両では、通勤車両「5000形」10両1編成を新造。車内は、広さや明るさを一層感じてられるように車両間の仕切り扉や荷棚、座席横の袖仕切り部に大型強化ガラスを採用し、天井埋め込み形のLED照明で空間の広がりを感じられる車内を実現する。
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