KDDIスマートドローンは、ドローンサービスの次なる一手として、機体メーカー各社が発表している自動充電付きの基地「ドローンポート」を組み合わせた“遠隔運航”サービスを開始した。既に実績のある能登半島地震での道路啓発工事での活用も踏まえると、現地への人員配置ゼロで、災害時に被災状況の把握や建設現場の進捗確認などでの需要が見込める。
KDDIスマートドローンは「第9回 JAPAN BUILD TOKYO−建築の先端技術展−」(会期:2024年12月11〜13日、東京ビッグサイト)で、ドローン機体やサービス、建設現場向け通信技術を出展し、中でもドローンの離発着基地となる「ドローンポート(自動充電ポート付きドローン)」を活用した遠隔運航サービスを特に訴求した。
KDDIスマートドローンはこれまで、機体とKDDIの強みとなるモバイル通信とを組み合わせたドローンの各種サービスを展開してきた。用途は、橋や河川、鉄塔、ダムといったインフラ構造物の点検、建設現場の測量や監視、山間部や山林の監視などだ。
最近では、山間部やトンネル工事など電波が届かない不感地帯での通信を可能にする「Starlink」に注力。Wi-Fiや有線LANの「Starlink Business」に加え、Starlink通信衛星とau基地局をつなぎモバイル通信を可能にする「Satellite Mobile Link」も用意している。郊外に位置する“ルーラルエリア”での通信環境の課題としては、光ファイバー敷設は大規模工事に伴う導入コスト、静止軌道衛星通信サービスでは小容量かつ低遅延の通信品質がそれぞれネックだった。
Starlink Businessが半径50メートルのピンポイントで申し込みから利用まで1〜2カ月ですぐに使いたい場合に有効なのに対し、Satellite Mobile Linkは500〜1キロの広範囲でauのエリアを構築。Starlink通信衛星と接続するアンテナやLTEアンテナ、無線機などを備える基地局建設で6〜9カ月は掛かるものの、電話(0X0-)も利用できる利点がある。
今展で提案したドローンポートを活用した遠隔運航サービスは、世界のドローン市場で圧倒的なシェアを占めるDJIやAIを活用した自律飛行が特長の米Skydioから、ドローンポートが発表されていることを受け、これから遠隔運航が増加することを見据えて2024年11月に提供を開始した。ドローンを飛ばすだけなら他社でも可能だが、データを取得した後の解析や3Dモデリング、パノラマ画像化なども含めてパッケージ化して代行するのが他にない特長となっている。
サービスでは、KDDIスマートドローンが機体やドローンポートを準備して現場に設置し、飛行申請から飛行準備、日々の運行までを一括で請け負う。導入時の機体購入などの初期投資や現地への人員の配置、専門的な知識やスキルなどが要らず、ドローンポート設置に適した場所を確保するだけで手軽にドローン活用を始められる。飛行やデータ取得の頻度は、週1回、1日1回、1時間1回など柔軟に応じる。
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