安藤ハザマは、山岳トンネル工事の連続ベルトコンベヤーを用いたずり出し作業を対象に、ホイールローダーの運転席で、移動式クラッシャーの遠隔操作を可能にするシステムを開発した。新システムの導入により、監視員を移動式クラッシャーの上に配置する必要が無くなり、現場の安全確保につながる。
安藤ハザマは2021年4月5日、青山機工、タグチ工業と共同で、山岳トンネル工事での連続ベルトコンベヤーを用いたずり出し作業を対象に、安全性と施工性の向上を目的とした「移動式クラッシャー遠隔操作システム」を開発したことを発表した。
移動式クラッシャー遠隔操作システムは、安藤ハザマが取り組むICTで山岳トンネル工事の生産性を大幅に高めることを目的とした「山岳トンネル統合型掘削管理システム(i-NATM)」の一環となるシステム。
山岳トンネルの連続ベルトコンベヤー方式によるずり出し作業は、発破により破砕した掘削ずりをホイールローダーで集積し、切羽後方に設置したクラッシャーに投入する。投入したずりは、クラッシャーでベルトコンベヤーに運搬可能な大きさまで破砕した後、後方の連続ベルトコンベヤーに載せ替えて、トンネル坑外の仮設ヤードまで搬出する工程を踏む。
従来のクラッシャーへの掘削ずり投入では、掘削ずりの破砕状況に応じてクラッシャーの運転を調整管理する監視員を配置することがあり、監視員の安全確保や破砕粉じんによる健康被害などの懸念があった。
新開発した移動式クラッシャー遠隔操作システムは、ホイールローダーの運転席に設置されたタブレット型PCにより、移動式クラッシャーの遠隔操作を可能としたシステム。タブレットはカメラでの映像取得と、移動式クラッシャーの操作を行うことが可能で、ホイールローダーの運転手は、掘削ずりの破砕状況をカメラ映像で確認しながら、状況に合わせて、移動式クラッシャーの動作調整を行いずり投入をすることができる。また、移動式クラッシャー上に、破砕状況の監視・機器操作を担当する作業員が不要となるため、ずり搬出のさらなる省力化・安全性の向上につながる。
既に、青山機工とタグチ工業のそれぞれが所有する移動式クラッシャーに適用し、機種を問わずに、坑内の安全性と良好な環境を確保する有効性を確認している。
今後は、連続ベルトコンベヤーを設置する安藤ハザマが施工するトンネル工事で、順次導入し、ICTを活用することで山岳トンネル工事における施工の高度化を実現し、大幅な生産性向上を目指す。
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