大林組は、トヨタ自動車 未来創生センターと共同開発した施工シミュレーター「GEN-VIR(ゲンバー)」に、新たに作業姿勢生成機能を実装した。筋疲労の分析機能と組み合わせ、作業員の肉体的負担軽減につながる工程や作業の改善を実現した。
大林組は2025年3月24日、施工シミュレーター「GEN-VIR(ゲンバー)」に新たに実装した作業姿勢生成機能など活用し、東名リニューアル工事(東名多摩川橋)で作業員の肉体的負担を軽減する作業改善を実施したと発表した。
GEN-VIRは3DCGを用いて工事現場と作業を再現するシミュレーション技術で、大林組とトヨタ自動車 未来創生センターが共同開発した。大林組では、作業時間や空間が限られ、綿密な作業検討が求められる高速道路上の工事にGEN-VIRを導入。作業シミュレーションを通して、作業効率の向上や労働災害予防につなげてきた。
一方、生産性を重視することで、作業員の肉体的負担や疲労が増加する懸念があった。今回、作業時の姿勢をシミュレーター上に生成する機能を新たに実装すると共に、筋疲労の分析機能を改良し、作業員の肉体的負担軽減につながる工程や作業の改善に取り組んだ。
新たに追加した作業姿勢の自動生成機能では、実際の作業姿勢に近い形で、バーチャル現場内の作業員の姿勢を生成。筋疲労分析に使用することで、高い精度で筋疲労を数値化できる。また、各作業に対する筋疲労を時系列に算出する機能を改良し、実際の作業時により近い筋疲労の数値算出が可能となった。
今回の工事ではモルタル打設作業を作業員7人1班体制で計画していたが、GEN-VIRを使用して施工シミュレーションを行った結果、1班6人体制とすることで作業員の待機時間が短縮でき、1班7人と同様の作業時間で施工できるとの結果が得られた。
人員減による筋疲労増加への対応策を検討するため、モルタル打設作業の手順を細分化して筋疲労分析を実施。ハンドミキサーを使用したモルタル練り混ぜ作業で部位ごとの筋力への負担が特に大きいことが判明した。そこで、作業負担軽減のためにモルタルミキサーの導入を検討した。
モルタルミキサーを用いた施工シミュレーションでは、ハンドミキサー使用時と比較して40分の作業時間の短縮と、筋疲労軽減が確認できた。シミュレーション映像は手順説明会で、施工手順や人員配置、安全対策の確認にも利用。事前に映像を視聴したことで、未経験の作業工程でも、効率的に作業員の負担を軽減した工程の改善を実現できた。
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