隈研吾建築都市設計事務所でも採用 ブラザー工業の建築設計向け手書きノート共有アプリ第9回 JAPAN BUILD TOKYO(2/2 ページ)

» 2025年03月04日 07時17分 公開
[加藤泰朗BUILT]
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 iPad専用アプリではあるものの、iPadを所有していなくてもWebブラウザが使用できる環境であれば、どのデバイスからでも図面の閲覧や編集が可能だ。ページアクセス権がない相手でも、URLを共有するだけで一時的に情報交換できる柔軟性を備えている。

 履歴記録の機能で、複数人による共同編集の過程が可視化されるため、「誰がどの部分を修正したか分からない」「意図しない変更が加えられても気付けない」「誤って上書きされたデータを復元できない」といった共同作業でよくある懸念を解消できる。

 図面だけでなく写真や動画も共有できるので、言葉では伝わりにくい音や動きも動画とメモ機能を組み合わせて効率的に伝えられる。インポートする図面PDFの用紙サイズ情報を反映する原寸表示機能やシンプルな操作で距離/角度/面積/尺度などを測定するツールは、設計図面の確認では必須となる機能で、痒いところに手が届くアプリ設計になっている。

図面以外でも、書類の確認などの作業に役立てられる 図面以外でも、書類の確認などの作業に役立てられる

 また、レイヤー設定機能も搭載し、一つの図面に対して意匠や構造、設備などさまざまな立場の関係者がアイデアを書き込むことで、設計方針を多角的に検討できる点も、多くの設計事務所から高い評価を得ている。

業務効率化とペーパーレス化の実現

 BuddyBoardは、こうした機能によってコミュニケーションの改善だけでなく、業務のペーパーレス化や作業効率の向上にも大きく貢献する。建設業界では、施主や施工関係者との打ち合わせに際し、図面を印刷して持参するのがまだまだ一般的。図面ベースの打ち合わせは、論点が分かりやすく合意形成の理解を得やすい利点がある一方で、「便利なアナログ手法」ゆえに、建設DXを遅らせる要因にもなっている。

 「従来の方法では、大量の紙の図面を事前に準備し、持ち運ぶ手間が発生する。また、紙媒体に記録された打ち合わせ内容をその場にいない関係者と共有して調整するのにも多大な労力と時間を費やす。BuddyBoardならば、そうしたワークフローの全てをiPad上で完結するので、紙資源の節約や作業時間の短縮につなげがる」とブース担当者は強調する。

 ブラザー工業の調査によると、従来の紙ベースの作業をBuddyBoardでの作業に置き換えることで、70%もの作業時間削減を実現したという実績がある。

 コロナ禍をきっかけに普及したリモート形式での打ち合わせ。人材不足や働き方改革による業務効率の向上がさらに求められる建設業界でも、新たなワークスタイルは今後ますます広がることが予想される。作業効率と創造性の両面で貢献するBuddyBoardが活躍する場面は、今後さらに増加することは間違いないだろう。

BuddyBoardの活用で7割の時短を実現 図面以外でも、書類の確認などの作業に役立てられる
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