BIMで未来を切り拓いた地方ゼネコン 盛岡の「タカヤ」が描く、次世代の建設プロセスとキャリアビジョン建設産業構造の大転換と現場BIM〜脇役たちからの挑戦状〜(9)(3/4 ページ)

» 2025年02月07日 10時00分 公開

施工BIMへの取り組みと技術支援

 設計段階でのBIM活用が定着する一方、LODで課題がある中で施工段階で新しい使い方も模索している。

 既に鉄骨建て方シミュレーションなど、施工段階での具体的な活用に向けて当社(M&F tecnica)が技術支援している。鉄骨建て方の施工ステップ確認、BIMモデルを活用した施工検討をサポートし、当社が開発する施工段階でのBIMデータ活用を目的としたRevitアドインツール「MFTools(エムエフツールズ)」の導入支援と活用研修も実施している。こうしたツールは躯体数量や土量数量などの拾い出しにも使われている。

 タカヤでは電気設備、機械設備、鉄骨工事など、専門工事会社とのデータ連携にも着手している。設備会社や鉄骨ファブリケータからデータを受け取り、タカヤから各社へデータ提供するなど、実践的な連携が始まっている。

 BIM推進チームは「足場のモデル化についても現場から要望があり、汎用的な形での提供を検討している」と説明する。施工現場からのニーズに応じ、徐々に施工段階でBIMの活用範囲が広がりつつある。

建設現場の施工ステップの可視化:鉄骨建て方計画 建設現場の施工ステップの可視化:鉄骨建て方計画 提供:M&F tecnica
作業所施工管理ミーティング:BIMモデルでの鉄骨建て方STEP検討会 作業所施工管理ミーティング:BIMモデルでの鉄骨建て方STEP検討会 提供:M&F tecnica

アフターフォロー/メンテナンス体制の課題

 大型案件の増加に伴い、アフターフォロー体制の強化も喫緊の課題となっている。細屋氏は「大型案件が増えてきて悩んでいるのは対応する人員不足で、早急に増員計画を進めている」と話す。

 タカヤでは、メンテナンス専門の部署を設置し、竣工後アフターフォローや既存建物の改修、メンテナンス業務を担当している。しかし、まだアナログな作業がメインとなっており、古い改修案件では竣工図と実態が異なるケースも多く、現場での確認作業に多くの時間を費やしている。

 細屋氏は「当社は設計施工会社なので、今後は設計と提案だけではなく、当然ながら施工、さらには建物の維持管理までをBIMデータで追従し、効率的に対応できるようにしたい」と抱負を語る。

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