データ取得の速さでも一般的なレーザースキャナーに比べると、Matterportに優位性がある。通常はレーザースキャナーだと1カ所で2〜3分かかるが、Matterport Pro3は基準点となるマーカーの設置も要らず、1カ所が18秒で完了。京急東神奈川駅のスキャン作業は2時間ほどで完了したという。
今では施工段階でもMatterportを活用しており、施工段階のクレーンなどの重機搬入で、動線上にある既存構造物との距離や可動域の確認に使っている。新しい使い方では点群データと3Dモデルを統合したデジタルツインに、時間軸(4D)を取り入れた「4D-CIM」の施工シミュレーションで、工法の妥当性や施工手順チェック、関係者の合意形成などの施工計画を検討している。「設計フェーズではミリ単位の高精度が必要になることが多いが、スキャンに時間を掛ける時間的余裕もある。しかし、施工フェーズは時間との勝負。施工現場の狭隘(きょうあい)なスペースで、重機が作業できるかといった確認では迅速にスキャンできるMatterport Pro3が適している。適材適所で使い分けることがポイント」(池田氏)。
今後の活用方針について池田氏は、「今は点群データを取りだし3Dモデルと統合しているが、3Dのモデルをクラウドへ格納し、座標の情報を合わせて画像と統合して表現する方法をMatterportで実現したい。クレーンなどの重機の3Dオブジェクトをデジタルツインにインポートすることで、Webブラウザ上で干渉チェックなどのシミュレーションが可能になる」と説明する。
さらに「Matterportのデジタルツインは施工現場の過去と現在を記録するだけでなく、計画3Dモデルと統合することで未来の可視化にも使えるソリューションだ。これがまさにフロントローディングであり、もはや私たちにとって手放せないツールとなった。Matterportのソリューションは業務効率を向上し、DXの価値を最大限に高めてくれるものとして、あらゆる現場で積極的に取り入れていく」と展望を語る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.